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作品名:マエノスベテ 作者:たくひあい

第65回 95 96
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 ぼくらが何回目かに、ぐるぐると回っているときだった。
彼女が居た。
 屋根付きのすでに車でいっぱいな駐車場を『あえて』通っていたということに視点を変えたとき気がついた。

「確かに、すでに車でいっぱいだから、車や自転車には追えないし此処はカメラが囲んでいる。人の死角も作りやすい」

彼が納得しながら言った。
ぼくもそちらに向かう。
彼女の戦いにねぎらいを込めて手を振る。

助けてもらおうとか、こいつが居ればなんとかなるとか、自分の身を自分で守る考えがない人間は、此処じゃ生き延びられない。そういった他力本願には真っ先に失格の烙印を押される。しかし、彼女はぼくらを呼びはしたものの、それは自分で戦うためであって力にすがるためなんかじゃない。


――こんな相手は、ずいぶん久しぶりだ。

「ははっ」

笑みがこぼれてくる。

「きみは、いい人だね。気に入ったよ。
ぼくは人間を気に入ることはほとんどないんだ。みんなワガママで、自分の為に相手を食い潰すことを、平気で「友情」だの「恋人」だの、吐き気がするからね。きみは違うみたいだ」

彼女は、こちらに気がついて手を振りかえす。

「今言うのもなんだけど、
友達になってくれたら嬉しいな」


「私ですか? 勿論ですわ」

彼女は、少し額に汗をかきつつも、疲労にふらつきながらも前を見据えた笑顔で、うなずいた。

2019/06/22 13:04




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 三人でおせっかいおばさんの家を目指すこととなった。
着くまでの間、「男女間の友情ってあると思う?」
というテーマで議論がかわされた。
性別以前に人間との間の友情の問題だとぼくは常々考えているし、家で読むときがあるのは人外と仲良くする本が多かった。
「相手を、人間だと、対等だと認めていてやっと成り立つ議論だよね」

ぼくが言うと、彼はそれは言えるねと笑い、彼女は「性別と恋愛自体が、近頃の流行りではもはや関係無さそうですね」と言った。
「ロボットと付き合ってみたいな」
「おい、それは浮気になるぞ」

「浮気と不倫は、なにがどう違うのでしょう……?」

 あと、新作ゲームの話もした。
気になっているものは旅から帰り気がついたらみんな死んでいた主人公が、どう正気を保って旅を続けるかという話だった。

「それは、どうするんです?」

「なにかを売り歩くのかな? あらすじを見るとそんな感じみたいだけど、
表どうするんだろう。リッチになりすぎず程よく儲かる数値にしないと飽きてしまう、あの辺り苦手らしいけど」

「らしいよって」

「あー、あいつは、そうだな」

「友達。変なヤツだけど極悪でもないんだ」

彼女が首を傾げたり、彼が適当な相づちを打ったり。

「とりあえず、ギャンブル性のあるミニゲームとか、やたら高いアイテムでどうにかするのが定石じゃないかな」

「うーん、なかなか儲からないシステムの方がよくないか」

「現実においては飽きるとか言う場合じゃないですね」

「ゲームとの違いだな」
2019/06/23 22:17


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