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作品名:マエノスベテ 作者:たくひあい

第61回 90 91
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 レコーダーが問題なく動作していたのを確認すると、男を警備員に引き渡してぼくらは下へと向かった。

「平気だったか?」

「僕は平気だが、こちらの台詞だ」

「この辺りの店、支配されてるみたいだよ、少し危なかった」

「やはりそうか……」

向かう間エスカレーターの中でそんな会話をする。
本当に彼女はどうしているだろう。

壁に、ドラッグストアの開店セールのチラシが貼られていた。「明日は、今流行りの賢くなる入浴剤がお安くなります!」

 そういえば一昔前に、賢くなるシリーズが流行ったものだ。頭脳パンとか、DHAジュースとか、なんか怪しげなヘッドギアとか。魚を食べると頭が良くなるという宣伝も流行ってたな。
まだこんなのあるのか……
 この店はたまによくわからないものを売っており、新しいのか古いのか、なんだかいまいち境目がわからない感じが逆にぼくには魅惑的で好きだったりする。

「頭がよくなるかな?」

チラシが目に入るついでに、彼に話題を振ってみる。

「さあ? 勉強したほうが、早いと思うけど」

彼はしれっとしていた。
確かに。

時代は、変わる。なんだか、ついていけてないような気もする。
放送していいのかと疑問を感じざるを得ないオカルト番組が夕方頃にやっていたり、グロいフラッシュアニメが流行っていたことを、きっと今の小学生は知らないだろう。
2019/06/20 18:09


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 このフロアの隅になぜかあるエセSFグッズが売っている区画(月っぽい石、とか、NASAが開発してそうなまな板とか)に行きたくなったが同時に、そんな場合でないこともわかっていた。現実逃避をしたくなる現実のなかに居ると、なんだか、こう、ふわふわと、漂うような、変な心地になるときがある。

 彼女を探してあちこち見回る。なかなか見つからない。
さらわれたんだろうか、という考えが脳裏を掠めた。
目を離したのはぼくだ。
悲しんでいる場合ではない。

「なぁ、なんで、わかったんだ?」

「あの男が此処に来ることか、いや、想定とは少し違っていたよ。マエノスベテが現れると思ったんだが――」

「……、何故、なにしに」

「デートを装おって、此処に、邪魔しに」

つまり、このデートはエサだったわけか。『何処からか』情報を掴む彼が、割り込んでくることを彼は想定した。

「さすが、通報も見越しているらしいな。彼はまず、下っ端に先に来させておき連絡を待ってからやってくる予定だったのかもしれないが、あんな騒いだから、たぶんもう来ないな」

通報を見越すって、どんな場数を踏んでいるんだ。

「監視カメラもハッキングかなにかされているだろうから」

2019/06/20 18:23


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