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作品名:マエノスベテ 作者:たくひあい

第40回 56
56
椅子に腰掛けたままここに来るまでの間の話をする。

「それはそれは、きっと、見てみたい! 答えだね、それが」

「理由が答えられないことってたくさんあると思う、それを解き明かすエゴは美談じゃないと思うの。でも」

「キャフフフ! そうも、いってられない理由がですね、あるんだかも?」

その子は、愉快そうに笑った。それだけなのになんだか酷く現実から解離したような、ふわふわと幻想を漂うような気分にさせられる。

「ええ、そうなのよ。あと、壁にお絵描きしてる人、探してるんだけど、知らない? あなたのライバルとかじゃない」

「ライバル? ライバル、ね……張り合いなんか、それ、相手に寄生して、です、相手じゃん、だから、私じゃない、既に!
それが不快だから作らないよ。のんびりね、キャフフフ!」

その子は、ここに来る前は――元気な頃は筆を折った、芸術家だった、何か、らしい。詳しくは知らないけどもしかしたらと思ったが、ニヤニヤ笑うだけだった。

「下を見ると、きりがない、きりがない、惨め、キャフフフ!」
2019/05/29 00:38


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