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作品名:マエノスベテ 作者:たくひあい

第39回 54 55
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『私が言うだけでは説得力に欠ける、ところが辞書を引いて読んで聞かせると社員の納得感がぐんと高まる。しかもお互いに共通した認識を持てる』

 は、ホンダカーズ中央神奈川の相澤賢二会長の言葉らしいけれど、辞書をコピペに変えると、多様な意味合いを持ちすぎてしまう。
やはり、辞書は辞書だ。
意味は意味。
定義だから、力を持つのだろう。
そんなことを考えながら、細い道を何度か右折、左折していた。
何度目かに曲がった壁に、風船が描いてあった。

「最近、増えてないか?」

まあいいや、あとであの子に報告しよう。
呼ばれた場所は、ある国立病院……の隣にある隔離病棟の跡地だった。
 その場所は最近ではある程度改装されて小綺麗なホスピスみたいになって来たらしい。とはいえあまり人が訪れる場所ではない。
くまさんが私を見つめて話した。
「そうね、きっとそうね」
2019/05/19 13:02




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 病院に付いた途端、目的地はあとわずかというのを変に意識したからか歩いているうちに、少し喉が乾いてきた

病院には大抵自販機があることを私は知っていたので、足早に中へ向かうとここも例外でなく、設置されたそれのひとつからお茶を購入。
それを持ったまま指定された番号の病室へ向かう。
廊下にはあちこち矢印が張り巡らされて、迷いかけたがどうにかなった。

個室のひとつのドアをノックする。
 今さらのように来る前に電話してと言われたので携帯を出して見たが、電池はいつのまにか切れていたのか、起動できそうになかった。

「もしもし、入るよ」

と、開けたとき、その子は、普通に鞄の荷物をまとめていた。どうやらこの部屋から出るみたいだ。節電のためか、部屋のなかは薄く暗い。
なにか気配を察してから、その子がちらりとこっちを向いた。

「うわー! わわ! アポってよ!?」

そして目を丸くさせた。

「ごめん、電池切れてて」


しょうがないな、とその子は、
鞄から出した充電器を渡してきた。

「熱くなりやすいから極力燃える!使っちゃだめって白の充電器使ってみて!言われた! ちょっとなら平気やねん」

「……ありがとう」

「早いねっ。やっぱり走ったに? びっくりだよねですよ、私はです」

「ここ、充電してもいいのかな? まあいいや、つけちゃおっと」
白いふわふわした髪と綺麗な瞳の子。言語を制御するとこがなんかどうにかなってるらしくて、会話は大体こんな感じだ。
2019/05/22 14:09


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