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作品名:マエノスベテ 作者:たくひあい

第33回 45 46
45
 皮肉にしても、ちょっと突っかかりすぎじゃないか。
ウシさんの人生に一体なにがあったんだろう。
ぼくはそんなことを考えながらも彼女への攻撃を止められずに狼狽えていた。


彼は彼で、ぼくを廊下に呼んだ。
「怒りの矛先が変わったが、ウシさんが前々から持っていた価値観が原因のひとつでもあるという点もあるのかもしれないな。ナエさんのときもそうだ。
恐らく、服装や振る舞いが派手かどうかではない」

と、早口で話す。
文面ではお見せできないが、彼女(ナエごん)、見事に派手なギャルに扮していた。
着ていた服も今回に備えて派手な柄スカートを『彼』から持ってくるよう事前に言われていたようで中に着てきたものをトイレで着替えたらしい。
言われることはなんとなくわかったが、一応確認で聞いておく。

「つまり」

「『怒り』と、『派手』自体には因果関係はないかもしれない。みんなが理由がわからないのは、そこについて、なにかワケがあると思い込んでいるからだ」

 お茶会の話を聞く限りも、途中まで和やかな時間だった感じがする。会の開催自体には問題はなかったのだと思うから、個人自体に前々から恨みがあったわけでもないかもしれない。
だとしたら呼ばないからだ」

「または、ウシさんが休めばいい」

 だとしたらお節介おばさんを此処に呼び出したところで、それだけで彼女の怒りは解決しないだろう。

2019/05/12 18:23



46
 部屋に戻るとウシさんが「あら、まだ居たの」というふうにあきれていた。

「あの……」

 ウシさんに、少し言いすぎじゃないかと口に出しかけたが、どうにか留まった。

「心配しないでください、あれはちょっと辛口なだけの批判ですから」

彼女が申し訳なさそうにそう言ったからだ。

「本当です、ここへきてわざわざ嫌がらせする貴方がたと同列にしないでください」

ウシさんも頷く。

「ほんと、あの方は常識がない。何年も前から利用してきたうちの山のことまで持ち出して!」
ウシさんはやがてぶつぶつ、呟き始めてしまった。

 フラワーアレンジのための素材となる植物を取りに行く場所があちこちにあるというようにウシさんは語っていたが、もしや、それが鍵のひとつなのだろうか。

「山について言われたんですか」
彼が、ウシさんに確認する。
何か思い出したらしくウシさんは強い口調で叫んだ。

「許可なら取っている! あの女から言われるようなことはない! あの山も、この山、どれも同じ自然なのだと以前から言っています。
茶会にも居た口でよく言える」

五年近く続いているのに、少し前、三年目程に入ったお節介おばさんから勝手に山に入るのはどうかと『今更』言われたらしい。

「なるほど、怒りの原因はこれか」
彼は一人納得する。

「しかし、許可を取っているかどうかでそれほど激昂しなくても。……失礼ながら、心当たりがあるのでは?」

「あんたたちこそいきなり来て嫌味だよ! どの口が言ってるんだ!」

今度はぼくらに飛び火した。

「それは、ウシさんが心配で!」
彼女が慌てて付け加える。


2019/05/13 22:39


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