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作品名:マエノスベテ 作者:たくひあい

第31回 41 42
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 ナエごん――彼女の証言も、同じように、やはり理由はわからないがウシさんがキレた、というものだった。

「えぇ、ほんとに、和やかにお菓子、クッキーや、ケーキを食べながらお茶を飲んで、のんびりと会話していたの。
いつかみんなで個展とかいいわね、みたいな。
途中、中盤くらいから《おせっかいおばさん》が特にキツく当たられている感じはしたけどね、理由になりそうなものは私から見ても、特にはない。
 天気とか、野菜や、くだものの木の時期の話とか――当たり障りない会話ばかりだったから、余計に絡まれている理由がわからないわ」

「なるほどね。ありがとう。
少し、相談があるんだが……」

彼、は話を聞くとすぐにナエさんの耳元で何かを相談する。

「なになに? ……うんうん、わかったわ」


しかし男女比率同じなはずなのに、ぼくだけが浮いてるようななんて思いながら、ぼくはそれを見続けていた。
此処に、必要なのだろうか……なんか空しい気分になってくる。
「きみにこの役目をさせたかったんだけどね」

彼は急に、じっとぼくを見て話しかけてきた。

「え?」

「さすがに、そんな無理をさせると傷を抉らないかと心配したんだ」

「はぁ……」

 ナエさんがお手洗いを借りてもいいかと彼女に聞く。
彼女は案内にむかい、ナエさんも廊下に出ていった。
2019/05/06 00:36



42
      □

やがて――――

「じゃーん!」

と出てきたナエさんはいつの間にか、やけにハデなメイクになっていた。
ギャル……?
来たときの清楚感と別人みたいだ。

「ど?」

「うん。一度その格好で外で、弁当買ってきてくれないか?」

彼は真顔だ。
ぼくは、ただ感動していた。
彼女は、ぱちぱちと手を叩く。
「嫌だ、私はおかずを買いたいんだ。お弁当なんか買いたくないんだ!」

そこかよ! と、思わず突っ込みたくなったがやめておいた。
「おかずは知らんが、ナエごん、行ってらっしゃい」

「いってきます」

ナエさんはハデメイクのままで階段を上がっていく。
二階にはウシさんが居る部屋がある。
彼女が何かしにいった間、彼が説明してくれた。
「派手、というならきみの蒼い『けもみみ』だと思ったんだが……さすがにね」

「なるほど、ウシさんを試すのか」
確かに、身体についてさんざん言われ続けてきたぼくには、改めての批難はキツかったかもしれない。
『けもみみ』と暗号的に言われると少しなんだかモヤッとしてしまうけれど、甘んじて受けるしかないのだろう。

「今日次第では、改めて集まるかもしれない」

彼は言う。
 今日でウシさんが何に怒るかが判明するのなら早いのだが……

「そのときはお茶会に参加していた他の人を呼びたい。見つけやすいようにその写真を送ってもらってその格好で外まで来てほしいんだ」

 彼が、彼女に言うと、わかりましたと頷いていた。
二階からは「びっくりした!」
という声がした。
けれど、そのくらいで、
ギャアア! とか期待するようなリアクションも聞こえなかった。
「だめっぽいね……」

「みたいだな」

ぼくと彼は口々に言った。
派手なだけではウシさんは機嫌を損ねていないみたいだ。
2019/05/11 00:27


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