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作品名:帝都、貫く、浄魔の拳 作者:ジン 竜珠

第155回 漆の十二
「なんていうか、テレビで言うと、CG合成のような、不自然な感じがある」
 天夢ちゃんが息を呑んだ。
「それって、ディザイアになる人間が、顕空から冥空に来て、間もない時のサインです! 救世さん、わかるんですね!?」
「サインがどう、っていうのは、わからないけど、強烈な違和感がある。……天夢ちゃん、感じないの?」
 頷き、興奮した様子で、天夢ちゃんは言った。
「救世さん、すごいです!!」
 そういう風に言われると、悪い気はしないけど、天狗になっちゃいけない。爺ちゃんから、しつこく言われてたんだ。「心の修養を重んじろ」って。あと「思い上がったら、そこで成長が止まる」とも言われたなあ。
 まあ、それはともかく。
 念のため、っていうわけじゃないけど、あの人の名前とか、特徴とか、確認しておこう。
 僕が歩き始めたときだった。
 あの男の人と、僕との間に、静電気のようなものが走るのがわかった。思わず、懐に手をやる。そこにあったものを出した。
 一枚の咒符があって、その文字が、光りながら、放電みたいな光を放っていた。
「……ディザイア!」
 僕は、男を見た。
 男も、僕を見た。
 男の表情が歪み、ついで、体が崩れる。
「ダーシーさん!?」
 そんな感じの言葉を叫んで、沢子さんが悲鳴を上げる。
 卒倒しかける沢子さんを支え、ほとんど、直感的な動きで、その場から離脱する。
 人々の悲鳴が響く中、男の姿が変わっていた。その姿は。
「……カッパ。いや」
 カッパの姿だけど、手足が異常に長い。腕の長さが、身長より長い。オマケに、五本の指も、妙に長い。
 ということは。
「ガウル、か」
 ガウルは、カッパの一種。特に、手足の長いやつで、臭い。出会うと死ぬ、なんていう、物騒な伝承を残している地方もある。
 勾玉は……。
 降りてこない。
 じゃあ、それまで、時間稼ぎをしないと!
 と思ったら、不意に、僕のところにやつの拳が飛んできた!


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