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作品名:帝都、貫く、浄魔の拳 第拾部 作者:ジン 竜珠

第4回 拾の四
 そして。
「もし幹山さんからなんらかの『物的証拠』を渡されても、それは、証拠とはならないものです。意味のないものを持っていても、仕方がないでしょう? 私にいただけませんか?」
 津島が訝しげな表情になる。
「それを判断するのは、私です」
「再三、申しましたが、幹山さんは間違った情報を手にしています。なので、私の方で、ただしたいんです、社会正義のためにも!」
 少し考え、津島は「検討します」とだけ言った。
「検討」では困る。
 そう思いながら、溢美は、自分の前にある、その喫茶店特製のグレープフルーツジュースを飲む。その時、津島が微妙な表情をしていることに気がついた。
「どうかなさいましたか? ……ああ、これ、おいしいですよ? ピンクグレープフルーツがベースになってて……」
「そうじゃないんです」
 と、津島が苦笑いを浮かべた。
「私、グレープフルーツジュースが、駄目なんです」
「え? こんなにおいしいのに? もしかして、苦いのがダメ、とか?」
「いえ、そうじゃなく。好きなんですけど、今飲んでる薬が、グレープフルーツ禁止なんで」
「え? そんなことってあるんですか?」
 そのような話、初めて聞いた。
 脂質異常があって、医者から処方されている薬の中に、「グレープフルーツジュースとあわせて服用してはならない」というものがあるそうだ。
 その時、津島がクシャミをした。
「お風邪ですか?」
 なんとなく聞いてみた。
「ええ、この間から風邪気味で。こじらせないようにしないと」
「お気をつけてくださいね」
 その言葉に、津島は苦笑いで頷いた。


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