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作品名:帝都、貫く、浄魔の拳 第捌部 作者:ジン 竜珠

第7回 捌の七
「江戸開府は、一六〇三年、関東大震災は一九二三年。この間は三百二十年だ。白倉神道では、『八』と」『十』が世界の基礎数として扱われている。これは『地上世界の八方位、天と地、あるいは陰陽の二元、これを合わせて『十』なんだけど」
 と、数字をいくつか板書していく。
「この三百二十を、八で割ると、四十、さらに十で割ると、四になる。そして」
 と、「一九二三」の下に「一九九五」「二〇一一」と書いた。
「知っての通り、一九九五年には、阪神淡路大震災、二〇一一年には東日本大震災が起きてる。一九九五年は一九二三年の七十二年後、二〇一一年は一九九五年の十六年後、いずれも、『八』の倍数だ」
 ……ほんとだ。みんなも、息を呑んでる気配がある。
「一九二三年の関東大震災は火災が甚大だった。つまり、『火の震災』。一九九五年の阪神淡路大震災は、家屋倒壊などが深刻だった『土の震災』、東日本大震災は、津波に見舞われた『水の震災』。そして、今、大正十二年界で起きているのが、大空震。言い換えると『風の震災』。もしかすると、本来は関東大震災で、四大の魔災が全て起きることになっていたんじゃないかな? だけれど、それが、位置なんかも含めバラけ、『火の震災』だけが起きた。だから、それを感じ取った当時の浄警のメンバーは『いずれ魔災が、また起きる』という危機感を持った。そして今年、令和五年は、西暦で二〇二三年。関東大震災から百年後。『十』の『十』倍だ」
 なんか、いろいろと繋がってきた。千宝寺さんが言う。
「なら、大淫婦どもも、奴が呼び出した、と?」
 白倉さんが首を傾げ、唸る。
「うーん。そこは、ボクにもわからないんだ。もちろん、冥空裏界……幽界のことだから、複雑な繋がり方、脈絡のない繋がり方、あるいは、いつの間にか縁が出来ている可能性もある」
 何かに気づいたのか、結城さんが口を開いた。
「それじゃあ、ムラマサは、徳川に祟る妖刀、村正のこと、かな?」
 天夢ちゃんが頷いて言った。
「そうか。だとすると、刀そのものの意志が、誰かの体を乗っ取っているのかも? ……でも、村正の妖刀伝説、って、本当に、ただの伝説ですよ? 当時、刀工・村正の刀が多く出回っていて、いわゆるメジャーブランドだったそうですし、特に徳川家康の出身地と村正の仕事場が地理的に近かったそうですから、なにかあったとき、相手が村正の銘を切った刀を持っているのが、当たり前だったと考えられます」
 あれ? 天夢ちゃんって、もしかして、刀フェチ? 紫雲英ちゃんは、拳銃フェチだけど(リボルバーが好きなのに、M五〇〇とかいうリボルバーは「ちょっと」っていってるその理由、何度聞いても、理解できなかったなあ)。
 白倉さんが頷く。
「amoureux(アムール)。確かに、そうだけど」
 この反応、白倉さんも日本刀フェチと見た。
「この場合、史実は関係ない。その『モノ』がどのようなプロフィールを持っているか、冥空裏界では、そちらが『威力』を持つ場合が多いからね。それに」
 と、浅黄さんを見る。浅黄さんが頷いた。
「俺が斬り結んだ限りだが、あれは刀に『操られている』って、感じじゃなかった、って今は思う。比率としては、半々、ぐらいか? ディザイアと刀、両方が一組だったって気が、今はしてる」


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