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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK Y 作者:ジン 竜珠

第9回 9
 そして、あたしたちが到着したのは、新将岳商業高校だった。
 時間は夜の九時を、ちょっと過ぎた頃。
 環緒さんが待機してて、あたしたちに言った。
「呪災の避雷針の縁者がいる。彼女のことはワタシが引き受けるから、あなたたちは、ゆうべのやつ……サキュバスをお願い」
 じゅさいのひらいしん?
 ああ、呪災の避雷針か。月曜日の夜……昨夜、朔羅が簡単な説明してくれたっけ。なんかの呪術をやったときに起きる反動を、引き受けてくれる、生け贄みたいな人間のこと。朔羅って、「呪災の避雷針」っていう存在に、思い入れっていうか敵意っていうか、複雑な感情を持ってるみたい。
 タマちゃんが頷いて、軽く三メートルぐらいジャンプして、正門の門扉を飛び越えた。
 朔羅も、なんか周囲を確認してから、ハードルのベリーロールみたいな感じで、門扉に触れずに、飛び越えた。
 あたしは。
 そんな器用な真似はできないんで、普通に門扉に手と足を掛けて、飛び越えたけど、足が引っかかって、豪快に音がした。
 朔羅が呆れたような表情で言った。
「そことそこに、センサーがある。あなた、完全に引っかかったわよ、防犯システムに」
「え!?」
 やばい。ていうことは。
「警備員さんとかが、押し寄せてくるとか?」
 苦笑を浮かべて、朔羅が頷く。そして言った。
「タイムトライアルね」
 時間制限付き妖怪退治か。できるかな、そんな器用な真似?
 朔羅とタマちゃんが、どこかを見る。そこにいたのは、赤いブラウスに、黒……いや、濃紺かな? そんな感じのハーフパンツをはいた、ボブカットの女の子。で、その背後に浮かんでる、コウモリの羽根、生やした、真っ裸(マッパ)の美青年と美女。幻じゃなく、実体だっていうのがわかる。
 あのコウモリコンビが、妖怪か。
『邪魔をしに来たな』
 美女が、ものすごい表情でこっちを睨む。
 ……うん、あんなケダモノじみた表情、間違いなく悪い妖怪だわ。
 そう思ったら、朔羅が竹刀袋から二振りの剣を出した。それを見て、タマちゃんが、妖怪に向かう。朔羅が何か呪文みたいなものを唱える中、あたしの中に「声」が聞こえてきた。
『あの者どもを、ここに閉じ込める。力を貸す』
 あたしは、反射的に、ブレスレットから、緑色の御魂玉、奇玉を押し出した。玉を入れてるホルダーは掌(てのひら)側にあって、肘の側にポッチがある。このポッチを押すことで、ゴム製のスリットから、御魂玉が押し出されて、掌に転がってくる仕組みになってる。
 閉じ込める、てことは、ここから逃げる怖れがある、てことね? いつだったか、環緒さんも結界を張る能力を持ってる、って聞いたことがあるけど、環緒さんじゃフォローしきれないってことか。
 あたしは、御魂玉を手首の方の鈴に押し入れた。
「アハリヤ、アソビハストモウサヌ、アサクラニ、ココニオリマセ、ヌリカベノタマ」
 鈴を弾くと、頭の中が涼しくなるような、冴え渡るような感じがした。
 その時、直感的に「環緒さんは、周辺に結界を張ることはできるけど、上に『ふた』をすることはできないのか」っていうのがわかった。
 なので、あたしは六方を囲う「箱」をイメージする。
 でも、なぜか、高さが二十一センチの倍数でしか設定できない感じがする。もっというと、その中でも「六十三センチ」とか、「百五センチ」とか、変な偏りのある数字しかイメージできない。その時、頭の中に「吉寸の倍数でしか設定できない」って閃いた。ついでに言うと今のあたしじゃ、周囲の力場の影響で十メートル以上ないとならない感じがしてる。だから、あたしが形成できた結界は、高さが十三メートルだった。
 もっと低ければ、って思う。だって、あんな高いところじゃ、剣も爪も届かないもん。
 案の定、タマちゃんも朔羅も苦戦してる。タマちゃんはまだ、高くジャンプできるし、なんだか何もないところ(「結界」の天井とか)を蹴ることができるみたいだからいいけど、朔羅はそんなことできないみたい。時々、呪文みたいなものを唱えて剣を振るってるけど、思うようなダメージを与えられてないみたい。


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