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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK Y 作者:ジン 竜珠

第8回 8
 夜の八時半。
 あたしと朔羅は、居間で、お菓子をつまみながら、お喋りしてた。
 最初は取っつきにくい子だなあ、って思ってたんだけど、最近はそうでもない。ていうか、蜚と跂踵の一件から、なんだか、雰囲気が変わってきた。うまく言葉にならないけど、なんかあたしに対して、親しみを覚えてくれてる感じ。
 まあ、悪い感じはない。同じところに下宿しているから、喧嘩したり変な敵意とかもたれるのは、勘弁して欲しいし。
 朔羅って、結構、遠くの、電車で二時間ぐらい先にある街の出身なんだ。あたし、行ったことないから知らないけど、内陸の方だから、こっちに来て、海があるのは、新鮮なんだって。
 小さい頃から修行ばかりさせられてて、親しいお友達とか作ることができなかったとか、初めての妖怪退治で死にそうになったとか。
 そんな話をしてるときだった。
「綺たん!」
 と、お風呂のお湯張りをしてる最中だった、タマちゃんが、居間に飛び込んできた。
 猫耳出して、水着、着てる。
「……えとね、タマちゃん。ちょっと聞いていいかな?」
「うぃ。なんだニャ?」
「なんで、水着、着てるの? しかも、ビキニ?」
「今日は、大浴場と、普通のお風呂と、露天風呂の三つのお風呂の掃除当番だったのニャ。そんな日は、いつも、この格好ニャ!」
 と、自慢げに胸をそらす。
 何ゆえに自慢げなのか、そのあたりは追求しない方がいいと思うので、結論だけ言った。
「お掃除すると、必ず全身、水浸しになるのね?」
「なんでわかるのニャ、綺たん? もしかして、修行の賜(たまもの)かニャ!?」
 なんだか、感動している風のタマちゃんを見て、朔羅が苦笑いを浮かべる。
 わかるって。多分、ホースで水を撒こうとすると、猫だった頃の本能とかが甦って、ホース投げ出しちゃって、逃げて、水被るんだろうなあ。浴槽とかに張られた水は大丈夫みたいだけど、派手に噴出する水とかは、完全には克服できてないんだろうね。
 ほんと、なんで、こんなのが成績優秀で、一部の女子憧れの「クールビューティー佗磨姫様」なのかしら?
「そうニャ、それどころじゃないニャ! 妖怪の反応があるニャ! 環緒姉から、テレパシーが飛んできたニャ!」
 テレパシー? そんなものが使えるの? ていうか、環緒さん、ほとんどこの家にいないけど、普段、何してるんだろ? 普段いないといえば、のっぺらぼんも、あれ以来、見たことないけど、普段、どこで、何してるのかな?
 あたしがそんなことを思ったとき、タマちゃんが言った。
「とにかく、悪い妖怪なのは間違いないニャ! 早く退治するニャ!」

 で、ちゃんと動きやすい服に着替えたあたしたちは、タマちゃんが「縮地」とかいう術を使って、現地まで行くことになったけど。
 タマちゃんは朔羅を睨んで言った。
「お前は、バスで来るニャ!」
「そんなことしてたら、時間がかかるわよ? いいの?」
「じゃあ、留守番ニャ! 今夜はタダシとヒメは帰ってこないから、お留守番してろニャ! あっしと、綺たんと、環緒姉で、十分ニャ!」
「数は多い方が、いろんな事態に対処できると思うけど?」
 なんか、タマちゃん、朔羅に敵意剥き出しなのよね。なんでだろ? この間言ってた「空気がイヤ」っていうヤツかな?
「うー」なんて唸ってから、タマちゃんは「しぶしぶ」って感じで言った。
「わかったニャ。でも、その剣は置いていけニャ!」
「これ、私の商売道具」
 なんか、鼻で嗤うような朔羅に、タマちゃんは唸るだけだった。

 で、あたしはタマちゃんにお姫様抱っこ、朔羅はタマちゃんにおんぶ。なんだか、朔羅が負ぶさった瞬間、タマちゃんが「うぐ」とかって呻いたけど、朔羅って、そんなに重いのかな?
 ……あ。
 そうか、いつか言ってた「特定の呪力が込められたアイテムは、重く感じる」っていう、あれだ! 朔羅の剣って、そういうアイテムなんだ! なんか、いろいろと繋がってきた。タマちゃんが朔羅を嫌ってるのって、その呪術の関係もあるのかな?


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