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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK Y 作者:ジン 竜珠

第7回 漆・七
「コージョーさん」が使えなくなってしまったので、睦美はかわりとなる「使い魔」を借りた。「スクブスさん」というそうだ。使い方は基本的に同じだが、ちょっと一手順、踏む必要があった。目当てとなる相手を、覚えさせる必要があるのだ。「クピドさん」の話では、一度、睦美自身の中で「初期化」されてしまったそうで、改めて手順を踏まねばならない、とのこと(もっとも、「クピドさん」も、誰かから聞かされたことを復唱しているようであったが)。そこで、火曜日の夜、睦美は、そのために、想い人、新野光俊(しんの みつとし)の通う、新将岳商業高校へ来ていた。
 ここは、羽心侍の西南部、南谷町(みなみたにまち)の五丁目、時刻は午後九時だ。中心街区からは離れているので、人通りもなく、少し寂しい。
 それに、この時間、学校には誰もいない。だが、誰もいない方が、好都合なのだという。余計な「雑念」が飛んでおらず、思念波がある程度「沈静化」しているので、「スクブスさん」が、目当てとなる男子を選別しやすいという。
 正門は施錠されていたが、裏門は、そうではなかった。どうやら、「スクブスさん」の魔力で、事前に施錠しないように、校務員が精神操作されていたらしい。そんな内容のメッセージが、頭に届く。
 門扉を開け、中に入る。そして、グラウンドの方へ行った。
 そこから校舎を見上げる。確か、三年生の教室は二階、彼は二組だという。
 イメージする。光俊が座っている席を。
 イメージする。光俊が笑っている姿を。
 そして、脳内のスクリーンが、視界に反映された。光俊の姿が、ぼんやりと見える。不思議な感覚だった。グラウンドに立っていながら、平行な位置に、二組の教室の様子が見える。廊下側から二列目、前から三番目の席に座る、光俊の姿が、はっきりと見えた。
『あの子ね?』
 耳元で、声がした。「スクブスさん」だ。
 声に頷くと、「何か」が、教室の中に入るのがわかった。その「何か」が、椅子に座る、イメージの光俊の背中に回り、覆い被さる。「何か」の背中に、大きなコウモリの翼があるのが見えたような気がした。
『この子のこと、覚えたわ。この子に、あなたのことをすり込んで、あなた以外の女のことなんか、考えられない身体にして、ア・ゲ・ル』
 何かが……「スクブスさん」がそう言ったとき、正門の門扉が音を立てた!


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