小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK Y 作者:ジン 竜珠

第4回 漆・四
「ちょ、ちょっと、響国さん!?」
 びっくりした。いきなりこういう行動に出る人なんて、今まで見たことなかったし。
 ケータイをあたしに返し、響国さんは大きく息を吐いた。そして、なんだか自分に強く言い聞かせるように、何度も小さく何かを呟いた、断片的だけど、「……のため」って言ってたように聞こえた。
 そして、あたしを見る。……なんか、視線がぶれてる。心に迷いでもあるみたい。
「響国さん? 本当にどうしたの? 学校の正門から、なんか、ちょっとキョドッてるわよ?」
 本当、なんか、不思議。
「え? ええと、あの、その」
 と、響国さんが視線を泳がせ、どもる。
 その時、また、ケータイが鳴った。タマちゃんだった。あたしが出ようとすると、また響国さんがあたしからケータイを取り上げ、今度は電源を落とした。
「……響国さん?」
 なんか、怖い。こんな行動に出るなんて、普通じゃない。
 それに、響国さん、なんか。思い詰めたような表情になってる。それがどこか、ものすごい決意のようで、マジで怖い。
 また小さく「……のため」なんて呟いてから、響国さんがあたしを見る。今度はまっすぐ、しっかりと。
「女薙さん……いいえ、綺さん!」
「は、はいぃ!?」
 彼女の声の強さに、あたし、ちょっとだけびっくりして、背筋が伸びた。
「私と一緒の時は、誰かとのお電話とか、やめて!」
「……はいぃ?」
 何を言い出したのか、さっぱりわからない。
 あたしが首を傾げると、響国さんが、唾を飲んでから言った。
「あなたの、そ、その、性癖、ていうか、好みっていうか、あなたが、女の子が好きっていうのは、承知いたしておりますわ!」
 うがッ!
 恋人以外でも一部の子(例えば、つゆりんとか)には知られてるけど、まさか、響国さんにまで知られてるとは思わなかった!
「そ、その! わ、私のことは、どのようにお感じになっていらっしゃいますか!?」
 そう言って、あたしを見る。
 ええと。
 ストレートに解釈すると。
 ……「そういうこと」になるのかなあ?
「すっごい美少女だなあ、って思ってるけど?」
「ということは、私の容姿は、あなたの好みにかなってる、と判断して、よろしいですわね!?」
「え? ええ、まあ」
「じゃあ、その……」
 と、ちょっとだけ言いよどんでから、響国さんは言った。
「わ、私を、あなたの恋人にしてくださいませんか!?」
 なんか、さっきから響国さん、ものすごい決意の固まりになってる。そりゃあ、こういう告白だから、並大抵の決意じゃないのはわかるけど、なぁんか雰囲気、違うのよねえ。
 なんとなくなんだけど、「自分に言い聞かせてる」ような感じがする。
 そう、彼女、百合でも何でもないのに、自分に「私は百合だ」、っていう風に、自分に言い聞かせてるような納得させてるような。
 それに、今も、時々だけど、あたしから視線がそれるのよね。
 まるで「不本意ながら、告白しちゃった」って感じ。
 どう答えようか、迷ったけど、あたし、ストレートに言うことにした。
「ねえ、響国さん。理由はよくわからないけど、無理することないわよ? なんで、百合でもなんでもないあなたが、あたしに告白してきたのか、さっぱりわからないけど、あたし、『その気』がない人を手込めにするほど、鬼畜じゃないし」
 その言葉に、ビックリしたのか、ちょっとだけ、目を見開き、響国さんは少しだけ考えるように、あたしから視線を逸らす。そして、改めて、あたしを見た。
「私、いろいろとあって、殿方に幻滅してますの。殿方との恋愛より、何もかもわかってくださる、同性との恋愛の方が、はるかに美しく、清らかなのですわ! 疑似恋愛なのはわかっておりますけれど、お互い認め合うのなら、それこそが本物! 私、真実の恋に生きたいの!」
 まだ、なんか引っかかるものがあるけど。例えば、幻滅してるのに「殿方」なんて呼んでたりとか。普通なら「男なんて」っていう風に、汚らわしそうに表現しないかしら、操さんみたいに?
 でも、彼女の気持ちもわからなくもない。今年になっておつきあいを始めた一年の雅友莉世子(まさとも りよこ)ちゃんも、あたしに告ってきたときの理由が「せっかく女子校に入ったんだから、『お姉様』との甘美な時間が過ごしてみたい」だったし。
 だから、響国さんも、そんな感じなのかも知れない。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 218