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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK Y 作者:ジン 竜珠

第2回 2
 今日、月曜日は、調理部A班の活動だったんだけど、お休みになった。
 ていっても、「大人の事情」とか、ややこしい話じゃない。
 あたしたちA班は、主に「スイーツ作りがしたい」っていう子が集まってる。人数は、十七人。なので、三回に一〜二回程度の頻度で、B班やC班とは違う活動をしている。それにともなって、実は、担当してくれる先生が、時々だけど、外部から来てくれたりしてる。
 で、今日は、その先生が都合で来られない、ってこともあってお休みになったんだ。
「ことも」っていうことは、他にも理由があるって事。つまり。
「綺、なんか、ご機嫌じゃない?」
 放課後、空き教室の一つで、あたしと操さんは、お喋りしてた。ちなみに、操さんが作ってきた「ラッシー」と、「アーモンドミルク」、あたしが作ってきた「ハルバー」と「ココナッツ・バナナ」が机の上にある。
「ラッシー」っていうのは、ヨーグルトで作る飲み物、「アーモンドミルク」は、これはいろいろとレシピの違いはあるけど、うちの学校で教わったのは、アーモンドとブラックペパーをミックスしたヴァージョン。ハルバーっていうのは、ホワイトソースを原料にしたお菓子、ココナッツ・バナナは、バナナをくりぬいて、中にココナッツを詰めて、さらにココナッツクリームとかレモン汁とか、かけて焼いたスイーツ。
 夕べ、緋芽さんがお風呂に入ってるときに……本当は泊まりがけだったそうだけど、「こっちで執り行う儀式の必要が生まれた」とかで、夜の十時頃に帰って来た。あたしはあたしで、何かで気を紛らわせたかったし……、で、こっそり作っちゃった。
 どっちも時間かかるけど、さすがに調理中に「やめなさい」とは言えないわよねえ。それに、お手伝いさんも、三人ほど一緒だったし、緋芽さん、なんだか困ったような顔してたなあ。
「わかります?」
 操さんの言葉に、あたしは、思わず口許が緩みながら言った。
「明後日、内田(うちだ)先生が、外部講師で来てくれるんですよ!」
 操さんが、頷く。
「そうだったわね。『シエクル・ヌーヴォー』のパティシエ、内田先生ですもんね。今日は、内田先生と、明後日のことで、詰めないといけないからってことで、お休みになったんだし」
 シエクル・ヌーヴォーっていうのは、新将岳市の、ほぼ南端の位置にある「吉備州(きびす)」っていうエリアにある、スイーツショップ。ここの名パティシエールが内田 貴莉恵(きりえ)先生。あたしの恋人の一人、桑島夜愛ちゃんに、去年、教えてもらったお店で、実はあたしの憧れの人。目標とするパティシエールなのよね。
 あ、ちなみに「パティシエ」と「パティシエール」は、どっちも同じ「お菓子職人」だけど、フランスでは、男性の方を「パティシエ」、女性の方を「パティシエール」っていう風に呼び分けてるところもある。あたしが呼び方にこだわるのは、そのせい。
 どうでもいいことだけど、内田先生、唇の左下にほくろがあって、それがチャームポイントになってる。
 操さんが、マイボトルその一からラッシーをカップに注いでくれる。その時、カラカラと音がして、あたしはあることを思いだした。
「そうだ、操さん、この間、教わった『透明に透き通った氷』の作り方なんですけど。その通りに作ったんですけど、うまくできなくて」
 あたしがそう言うと、「ちょっとコツがあるの」と、操さんが話してくれた。
「製氷器を、タオルか何かでくるんでみて? そうしたら、ゆっくりと凍っていくから、上手にできると思うわ。……そうだ、氷といえば、面白い裏技があるのよ」
 と、操さんが、氷の裏技を教えてくれた。
 操さん、食品加工会社社長の令嬢だけど、この裏技は、そういうこととは、あまり関係ないかな?
 でも、この間から、操さん、前とちょっと雰囲気変わってるのよね。ちょっとした会話に出ていたんだけど、お父さんとの関係がいい方向にいってるみたい。
 よかったよかった。
 やっぱり、家族、仲のいいのが最高だもん。


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