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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK Y 作者:ジン 竜珠

最終回 12
 マンションの一室で、元倉謙一(もとくら けんいち)は、窓外の夜景を眺めている。その背を見て、古座真由歌(こざ まゆか)は言った。
「ねえ、謙一さん。もう、やめましょ? 美弥子が死んだことで、あいつらも警戒すると思うし」
 自分がこういうことを言うのは、謙一にこれ以上、罪を重ねて欲しくないからだが、真由歌自身も「怖い」からであった。
 自分は殺人の手伝いをしてしまった。その事実が、彼女を、底知れぬ闇へと引きずっていくのがわかる。
 今なら、まだ引き返せるような気がする。
 もちろん、殺人の手伝いをしてしまったという事実は、消せない。だが、まだ、今なら、救われるよう気さえしているのだ。
「それに、復讐は、何も生まないわ!」
 その言葉に、謙一が振り返る。謙一はまだ三十一歳。だが、その顔は、百年の地獄を味わったかのような危険なものを孕んでいた。
 真由歌も、まだ二十九歳だが、ひょっとしたら、自分もこんな顔になってしまうのだろうか? ふと、真由歌の脳裏に、そんな恐怖が浮かぶ。
 謙一は静かに言った。
「確かに、復讐は何も生まない。だが」
 と、謙一は月よりも冷たく鋭い光を、瞳に宿して言った。
「『何か』を終わらせることはできる。何かが終われば、何かを始めることだってできる」
 強い決意で、謙一は真由歌を見る。そして、こうつけ加えた。
「それに、今の俺には『支え』てくれるモノがいる」
 謙一の心を変えることができない無力さに、真由歌は己の目に涙がにじむのを感じた。


(アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK Y 第漆章 君、恋うる華の乙女 後篇・了)


あとがき

 当初は「一章一エピソード。全五章でサクッと終了」だったんですが。予定が大きく狂ってきてます。現在、もろもろ組み直し中。

「妖界の一日が、人間界の七日である」、という設定の理由。よく「三日三晩、やり通す」みたいな表現があります。また「願掛け」などの基本単位は、「二十一日間」だったりします。
 これを「アチラの世界で三日間、続けると、何かが成就する。コチラの世界で二十一日間、願を掛けると、事が成就する。つまりコチラの世界で二十一日間、続けることが、アチラの世界では三日間、続けることと同じ意味になる」。
 こういう発想から、来てます。


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