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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK Y 作者:ジン 竜珠

第10回 10
 少しでも有利に、と思って、壁を狭めていくけど、一定の容積がどうしても必要みたいで、左側の壁を中央に近づけていっても、自然に中心点が右側にずれていって、右の壁がスライドしてく。
 そんな事を繰り返していたら、いつの間にか、グラウンドから大きく外れていって、屋外プールのところまで来てた。
「そうだ、カマイタチ!」
 カマイタチの刃を使えば、コウモリ連中の羽根を切り落として、地上戦に持ち込める!
 そう思って、あたしは荒玉に祈った。
「お願い、カマイタチ、来て!」
 でも、反応はない。
 もう一度、祈るけど、やっぱり返事がない。
 今のあたしには、何かに「来てもらう」のは無理なのかな? そう思ったら、なんか惨めだったり残念だったり、で、ちょっと泣きそうになった。
 その時、タマちゃんがあたしの傍に着地した。あたしが「カマイタチ、来て! お願い!」とか言ってたら、あたしのブレスレットと顔を交互に見て、一瞬で何かわかったらしいタマちゃんが、早口気味に、こう言った。
「妖界の一日は、人間界の七日! 一度こっちに喚び出されて、帰ったアヤカシは、余程のことがない限り、向こうの時間で、丸一日過ぎないと、またこっちに来られない契約ニャ! だから、一反木綿もカマイタチも、こっちには来られないニャ!」
 ……。ていうことは、カマイタチは無理ね、まだ、七日、過ぎてないもん。なら、天火なら!
 そう思ったら、朔羅と闘っているコウモリ男が言った。
『恋に焦がれるが如く、炎で焼け死ぬがいい!』
 そして、手の先から、赤い光を放つ。それを切り伏せた朔羅だけど、弾かれた光の欠片が、プールを囲う金網の下にあったなんかの金具(テント設営用の金具らしかった)にぶつかって火花を散らした。
 火を使うのか。じゃあ、天火でも駄目か。ホントにどうしよう?
 その時、「声」がした。
『娘よ、我の力を使うといい』
 この「声」の主なら、大丈夫! そう思ったあたしは、荒玉を出し、チョーカーの鈴に押し入れた。そして、呪歌を唱える。
「アハリヤ、アソビハストモウサヌ、アサクラニ、ココニオリマセ、ユキオンナノタマ!」
 そして、指で鈴を弾く。骨が熱くなるような感じがあって、アヤカシの力が降りてきた。
 あたしは、プールに張ってある水(防火用らしくて、藻が浮いてて、ちょっと気持ち悪かったけど)に手を入れ、それをすくいながら、「力」を使った。すくいざま、あたしは、凍り付いた、その水をコウモリ男に投げつける。氷のつぶてに驚いたコウモリ男が、身をかわす。あたしは、すぐさま、凍気を放つ。コウモリ男が呻いて、墜落した。そこへ、すかさず、朔羅が、剣を突き刺す。あたしも、距離があったけど、水をすくい、「力」ともに、投げつける。プールの水面から、弧を描いて氷の槍が伸び、コウモリ男の胸を貫いた!
 コウモリ男が、耳障りな声を上げて、消滅した。
 あとは、コウモリ女か。でも、あっちも空を飛び回って、時たま赤い光を撃ってる。コウモリ男がいなくなった分、空間に余裕ができて、女の動きが自由になってた。
 朔羅も攻めあぐねているのがわかる。
 せめて、あの女の動きを止められたら、と思うけど、とにかく、プール上空を飛び回るんで、狙いが定められない。
 あたしは、もう一度、プールの水面を見る。この水を一度に上空に送り込んで、降らせれば、その水圧で、コウモリ女を墜落させられるだろうな、なんて思っていたとき、ふと、閃くものがあった。
「タマちゃん!」
 あたしは、タマちゃんに声をかけた。


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