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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK X 作者:ジン 竜珠

第7回 7
「朔羅さん、深追いはしないで!」
 環緒の制止の声を振り切り、朔羅は緑郎を追いかけて行った。ここは、天戒冥傳の本拠に近いかも知れない場所。どのような罠が仕掛けてあるか、見当がつかない。追いかけようとしたとき、馬復の核となっていた呪符に、異様な「氣」が集積していくのを感じた。
 振り返ると、再び馬腹が形をなしつつある。これまでは、呪符になった妖怪は、そのままだった、……つまり倒すことができていたが、今回は事情が違うらしい。それがここが重要な場所であるがゆえのことなのは、間違いなかった。ここの「氣」が集まるからか、呪符そのものの符式が違うからか、まではわからないが、とにかく馬腹が完全な形になる前に手を打った方がいい。
 朔羅のことも気になるが、環緒は、こちらを優先することした。体内の氣を右手に集め、シャワー上に放射して、集積途中の氣を散らす。そして、呪符を拾い上げ、それを見る。
 確かに、これまで見たものとは、少し違うようだった。符の四隅に、結界を意味する点が打ってある。そして、逆三角形と三角形を組み合わせた、一見、砂時計にも見えるシンボルが書いてあり、そのシンボルの縦正中を貫くように一本の線が入り、さらに、組み合わさった頂点を通るように、横に短い線が入っている。
 天音明道で用いられる呪符で書かれる、「四方結界」と「勅令印」だ。前者は呪符の効果を邪魔しようとする「負の外力」を遮断する力を持ち、後者は呪符の力が途切れることのないように、「正の外力」を吸い込む力を持つ。これを書いて有効にするには、かなり特殊な条件が必要だと聞いたことがある。
「へし折れば、物理的にこの符は『死ぬ』けど」
 このままでは、また馬腹が現れる。呪符そのものを破壊すれば、そんなことはないが、もしかするとこの呪符に、この場所についての、何らかの「ヒント」が写し込まれているかも知れない。だとすると、破壊してしまうと、その情報が抜けるかも知れない。
 考えた末、環緒は。
 右の人差し指の爪を物理的に伸ばす。そして、その先で、左手の甲を突いて、血をにじませ、その血を爪の先に塗った。その爪で、符形の中の「召喚」を意味する咒字の上に「不」を意味する咒字を書き加える。
 これで、この呪符は、一時的ではあるが、馬腹を喚び出す力を失った。
 その符を上着のポケットに仕舞い、環緒は朔羅を追った。そして。
 両手にしっかりと剣を握りしめ、倒れて意識を失っている朔羅の姿をみとめた。


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