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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK X 作者:ジン 竜珠

第3回 陸・三
 そう思ったら、ブレスレットから反応があった。
 赤い御魂玉……荒玉(あらたま)は今、タマちゃんが持ってる。なので、緑色の玉……奇玉(くしたま)と、黄色い玉……泥玉(ぬるたま)の二つ。反応があるのは、奇玉の方。
 タマちゃんも気がついたらしい。なんか、ものすごく驚いてるけど?
「な、なんで、降りてきてる……ううん、降りてこられたのニャ……、契約してないのに……?」
 そんなことを呟いてるけど、あたしは玉からの声に集中した。
『不本意だが、力を貸す』
 なんかわからないけど、助けになってくれるみたい。あたしが持たされてる御魂玉は、それぞれ性質が違っていて、クリアレッドの荒玉は、攻撃力中心、クリアグリーンの奇玉は直接的な攻撃というより補助、クリアイエローの泥玉は主に回復・バランスなんだって。
 なんにせよ、ここで降りてきたってことは、この状況を打破する力を持ってるってこと。
 でも、蔓に絡め取られてるこの状況で、どうやって?
 その時、さっきのことを思い出した。
「ねえ、タマちゃん。爪で、ブレスレットから玉、出して、爪に乗せてくれる?」
「いいけど、どうするニャ?」
「いいから、早く!」
 あたしが急かすと、タマちゃんは、右手の人差し指の爪を伸ばした。その先を器用に使って、ブレスレットのスリットに差し込む。いつもは、このゴム製のスリットから、玉を押し出すけど、爪で押してもらって、出すことにしたんだ。
「これで押し出して、それから、どうするニャ?」
 しまった! 考えてなかった!
 仮に玉を押し出せても、その玉をどうやって、クリスタルの鈴に入れるの!?
 考えてるうちにも、ヒィシが近づいてくる。
 焦ったからだろうか、タマちゃんが、うっかり玉を押し出してしまって、それが地面に落ちた!
「ウソウソウソ! マジマジマジマジ!?」
 もう、四、五メートルぐらいのところに、ヒィシが来てる!
 思わず、そんなことを口走ると、タマちゃんが、地面に爪先を突き刺した。そして、叫んだ。
「綺たん、口で受け止めるニャ!!」
 言うと同時に、タマちゃんが、土ごと玉を弾くように、爪を起こした。それから先は、ほとんど反射神経。タマちゃんは、器用に爪の先で奇玉をバウンドさせながら、あたしの口許に奇玉を投げてきた。あたしはそれを飲み込んじゃわないように、口に含む。
 う、土の味がする。でも、そんなこと、言ってられない!
 あたしは、ブレスレットの鈴の上に口を持っていった。タマちゃんが爪を使って、鈴の上を押し開ける。
 お願い、入って!
 祈りとともに、あたしは、口を開いて、玉を落とした。
 祈りが通じて、玉は鈴に入った。あたしは、頭に浮かんできた呪文を唱える。
「アハリヤ、アソビハストモウサヌ、アサクラニ、ココニオリマセ、アヤツコダマ!」
 タマちゃんが、爪で鈴を弾く。頭の中が涼しくなるような、冴え渡るような感じがしたと思ったら、あたしたちに巻き付いている蔓が、自分の身体の一部のような感じがした、身体の一部なら、思い通りに動かせる!
 あたしは、何かに抱きついている腕をほどくような気持ちで、自分の腕に意識を集中した。
 あたしとタマちゃんの蔓がほどける。
 すかさず、あたしたちはヒィシに背を向けて、走り出した。
 今のあたしには「道」がわかる!
 ていうか、最初から「道」はそこにあって、錯覚か何かで、まっすぐ走ってるつもりで、グルグル回ってただけだっていうのが、理解できた。
 しばらく走って、林を抜けることができた。
 林の入り口のところで、奇玉に降りてる「木霊(こだま)」の声が頭に響いた。
『今、助けたのは、我らの住まいを、これ以上、汚されたくなかったからだ! 勘違いするな。我らは人間を、絶対に許さない! この先、幾百年経とうとも、我らは決して人間を認めない!』
 そして、アヤカシが玉から抜けていくのを感じた。


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