小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK W 作者:ジン 竜珠

第6回 伍・六
 時刻は、そろそろ午後二時半か。
 今、あたしは羽心侍の中心区に、朔羅と一緒に来てる。道案内兼お夕飯の買い出しだ。
 朔羅は「必要ない」って言ったけど、やっぱりやらないとね、歓迎会! で、今夜は、誰がなんと言おうと、あたし、厨房に立つ!
 あちこち、見て回ってるときだった。車道を挟んだ向かいの歩道に、一人の女の子が見えた。眼鏡かけた、ちょっと小柄な女の子。桑島夜愛(くわしま やえ)ちゃん、二Dで、図書委員。で、あたしの恋人の一人。去年の五月、体育祭の時に、彼女、怪我しちゃって。その時、あたし、救護係だったから、彼女を保健室まで連れて行って、で、その時に手当てして、三日後ぐらいに「お礼」とかって、スイーツ持ってきてくれて。結構美味しかったから、「どこで買ったの?」って聞いて、お店教えてもらって、一緒に行くようになって。で、気がついたら……。
 確か、あたしの方から誘ったような記憶がある。
 ちなみに、つゆりんとは、同じ中学出身。なので、あたしの「癖(ヘキ)」は、すぐにつゆりんにバレた。ていっても、夜愛ちゃんが自分から言ったわけじゃない。ロケットにあたしの写真入れてるのを見られて(……照れるなあ)、そこからバレたらしい。
 無視するのもあれだし、ちょっと声かけとこう。
 そう思ったとき、夜愛ちゃんの後ろの方、大体、十メートルぐらい後ろだと思うけど、三人の女子がお喋りしながら歩いているのが見えた。
 その中に、操(みさお)さんがいるのが見えた。
 ……ヤバいかも知れない。
 あたしが校内の複数の女子とおつきあいしてるのは、秘密にしてる。うすうす感づいている子(例えば、つゆりんとか)もいるみたいだけど、少なくとも操さんと夜愛ちゃんは、そんなこと知らない。
 下手に声をかけると、二人がバッティングする。もしかすると、その時に、なんか気づかれちゃうかも知れない。
 イヤだなあ、修羅場るの。
 この場は気づかなかったことにするのが一番ね!
 無視しよう!
「どうしたの、固まってるけど?」
 朔羅が言った。
「ううん。なんでもないよ!?」
「……脂汗が出てるけど?」
 そう言って、朔羅はあたしの見ている方に視線を持っていく。そして、意味ありげな笑みを口に浮かべた。
「詳しくは知らないけど。噂とか、変な『情報』とか、いろいろと手に入れたわ」
「……何、それ?」
 ちょっと引っかかるなあ、その表現。
「別に。ただ、妖怪退治なんてやってるとね、自分が通う学校とか、住む街とか、その周辺の『霊的事情』も含めて、情報収集しとかないとならないの」
「……で?」
 自分でも、嫌なタイプの汗がにじむのがわかる。
「綺に対して、ある種の『縁(えにし)』の流れが感じられるの」
「えにしの流れ、って、何?」
「喩えるなら」
 と、朔羅はあからさまに「ニヤッ」ってした。
「ピンク色の鎖、かしら?」
 うぐ!
「朔羅、それって、プライバシーの侵害じゃないの!?」
 あたしが小声でそういうと、朔羅は「フフン」なんて笑って言った。
「さっきも言ったわよ? 妖怪退治の関係で、『霊的事情』なんかも情報収集しないといけないって。もし、化け物が出現するとしても、その予兆がつかめるなら、対処もできるわけだし。その過程で、わかることもあるわ」
 ……。
 もう、この場は開き直っとこう。
「……いいでしょ、好きなものは好きなんだし。朔羅だって、好きな人とかいるでしょ?」
「……」
 ……あれ?
 なんか、あたしの今の言葉で、朔羅、表情がかげったように感じたけど?
「え、と。どうかした、朔羅?」
「どうもしてないわ。男とか、恋とか、そんなものに、興味ないだけ」
「え? 興味ない?」
 意外な言葉だ。朔羅って、かわいいから、結構モテると思うのにな。もったいない。あ、それとも!
「……もしかして、百合とか?」
 やだなあ、同類か。ちょっと親しみを感じて、口許が緩んじゃう。
「あなたと一緒にしないで」
 冷やっこい声で、そう言うと、朔羅はあたしを、やっぱり冷やっこい目で見た。
「もし、夜這いしてきたら、容赦なく斬るから!」
 目が、マジで怖いですよ、朔羅さん?


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 171