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作品名:今日も杏とて。継 結之章 作者:ジン 竜珠

第6回 6
 私、もう限界かも知れないわ。
 なんていうか、いろいろと手を尽くし、考えてきたけど、もうどうにもならないっぽい。
 私は今、この街の昴っていうところに来てる。
 ここには、海水浴場があって、海開きはもうちょっと先だけれど、もう人が一杯来てる。
 休日のお昼だもんね。空からは、まばゆい光が降ってくるけど、それがかえって私の中にある闇を、くっきりと私に見せつけてる。
 何なの、「頑張る」って?
 自分を自分自身で潰すことを、「頑張る」っていうのかな?
 私、世間でいう「女の幸せ」とか、あんまり考えたことない。
 それより、「私」っていう存在を輝かせたいの! そして、誰かの役に立ちたいの!
 それって、そんなにいけないことなの?
 夢を見ちゃ、いけないのかな!?
「ええ天気やなあ」
 そのとき、女性の涼やかな声がした。その声に振り向くと。
 そこにいたのは、高校生ぐらいかな。背が高くて、髪が腰ぐらいまであって、で、スタイルのいいすごい美人。手に持ってるのは、扇子だ。
 着ているのは、桜色と白の太ボーダー柄のサマーニットに、ダークブラウンのサロペットのスカート。かなり丈が長くて、足首ぐらいまである。履いているのは、アイヴォリーのショートブーツだ。
 こう言ったら、あれだけど、もうちょっとお洒落な格好したらどうかな、美人なんだし。似合ってるからいいけど。
 彼女が扇子を開き、口許に当てる。なにか企んでそうな笑みを浮かべ、女の子が言った。
「お日さんはな? 川底も照らしてはるんやで? それってな? 川底におっても、見上げたら、お日さんを見ることができるいうことや」
 なに? なんなの、この子? いきなり、なに言い出したの?
「自分の命、削って生きる。それはそれで、素晴らしいことや。せっかく生まれてきて、生かしていただいてるんやからなあ、お日さんに……何かに向かって、一所懸命、生きな、申しわけがたちまへん。でもな? それは自己犠牲とは違います。『世の中のお役に立つ』んと、『自分を潰す』んとは、全然違います。その辺、勘違いしたら、あかんよ? 頑張って、休んで、また頑張って。そのバランスが大事なんと違うかなあ? でないと、壊れてもうたら、何にもなりまへん。あとな? 簡単に自分を見限ったら、あきまへんえ?」
 この子が言いたいこと、なんとなくわかるけど。
 なんで、この子、私の思ってること、わかってるっぽいの?
「あなた、何者?」
 思わず、そんなことを言うと、女の子は、柔かな笑みになった。
 ……気のせいかな? 今、彼女の瞳、シトリンっていう宝石みたいな感じに、光ったようだけど?
「ウチですか? ウチ、宝條にあるスピリチュアルの事務所でアルバイトしてる、天宮 杏(あまみや きょう)いいます」

 天宮流神仙道、関西地区惣領が孫娘、天宮 杏。
 今日も今日とて、人助け。


(今日も杏とて。継・了)


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