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作品名:今日も杏とて。継 結之章 作者:ジン 竜珠

第3回 結之章・参
 その時、一人の若い男がやってきた。ティーシャツにジーンズというラフな格好だ。
 なんだ、こいつ? この女に恨みがあるようではないが。
 ここは幽界のようなもの、雑多な世界だから、どんな存在が乱入してくるか、わからないのだが。
 男が時計を見上げる。そして、ポケットから、何かを出した。そして、「これでいいかな?」と言いながら、何かを握った右手を、時計の中に突っ込んだ。通り抜けるかの如く、男の右手が時計の中に入る。そして、手を引き抜き、こっちを向いて、一言。
「社会の歯車、ナメんなよ?」
 はっきりと私を見て、ニヤリとした。
 まさか、私が認識できるのか? そんなことがあるのか? だって、だって、私の姿は、この女にしか見えていないはず……!
「おい、修時、ちょっと来てくれ!」
 不意に聞こえた老人の声に、「わかった、爺ちゃん」と応え、男が消えた。
 そして。
 時計が時を刻み始めた。
 なんだ、一体、何が起きた!?
 時計が消えたとき、女が顔を上げて、天を見た。だが、そこにあるのは、闇一色だ。
 ハハハ、上ばかりを見ている間に、肝心の足もとがおろそかになることを教えてやろう!
 私は「念」を送った。
 女が座り込んでいる闇色の地面が、泥となり、水となる。
 女がそれに気づき、立とうとするが、体勢が安定しないので、座り込んだままだ。
 このまま、水没するがいい!
 そう思った時だ。
「土克水!」
 男の声がした。その声とともに、水だった女の足もとが土のような固形に戻った。
 ……なんだ、一体、なにが起きたのだ?
 まあいい、また水にするだけだ!
 だが。
「水生木!」
 また声がして、今度は水が盛り上がり、大木に変わった。
「陰陽道は奥が深いねえ」
 男の、そんな声がした。
 本当に、何が起きたのだ!?


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