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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK U 作者:ジン 竜珠

第9回 参・九
 で、水曜日の朝、一時間目が終わったとき、二Bのあたしのクラスに、響国さんがやってきた。
「女薙さん、いらっしゃるかしら?」
 応対に出た女子が、どぎまぎしてる。響国さん、髪の長さはあたしぐらいで、背の高さもあたしと同じぐらい。見た目は普通だけど、スッゴイ美少女だし、お嬢様って雰囲気が、ビンビンしてる。実際に、お嬢様らしい。二つぐらい離れた市にある家の人だけど、その市で「響国家」っていったら、有名な名家だっていうし。
 ここへは、市内に別宅を建てて通ってるって、誰かから聞いた。
 すごいよね? 常識が通じないよね?
 一部の女子は、彼女のことを信奉の対象にしてる。今、応対に出てる江差野(えさしの)千寛(ちひろ)さんも、そんな一人……だわね。
「女薙さん」
「うん、聞こえてた」
 江差野さんに応え、あたしは、響国さんのところまで行った。
「女薙綺さん、ちょっと、よろしいかしら?」
 彼女とは、去年の入学の時に、同じ域外入学って事で顔合わせしたことがあるけど、クラスも別だし、まあ、住む世界が違うなって感じたんで、そんなに深いおつきあいじゃない。
 だから、あたしになんの用があるんだろ?
「あなた、確か、調理や栄養学の『校内免状』をお持ちですわよね?」
 言っておくけど、「校内免状」っていうのは、この学校でのみ通用する、ナンチャッテ免状のこと。だから外じゃ、なんの役にも立たない。でも、これ持ってると、その免状の内容に応じた、「学校行事」としての校外講義や、校外活動なんかに、優先的に参加できる。
「うん、持ってるけど?」
「……ちょっとお願いがあるのだけれど」
 と、響国さんが、声を潜めた。
「個人的に、私に『指導』していただけないかしら?」
 言ってる意味が、今イチよくわからない。
「……何言ってるのか、よくわからないんだけど?」
「あの。私、最近、お料理作りに目覚めてしまって。やはり良妻賢母には、お料理のスキルは、必要不可欠だと思いますの。それで、あなたに私のコーチをお願いできないかと」
 ゆっくり彼女とお喋りしたことなかったから、初めて知ったんだけど。
 実在するんだ、「ですわよね?」とか「思いますの」とかって口調の人。
 いや、今はそれはいいか。
 あたしはとりあえず断っておくことにした。
「ごめんなさい、響国さん。あたし、そういう『人に何か教える』とかいうのは、ちょっと」
 ホント、勘弁して? ただでさえ、常識外の事態に巻き込まれて、ややこしいことになってるんだから!
 そんな風に思っていると、響国さんが、なんだか不思議な……そう、まるであたしに挑戦するような笑みを浮かべて、言った。
「考えておいて? 私、あなたに負けたくありませんの」
 そして、どこかを睨んで、去って行った。
 彼女が何処を睨んだのか、気になったんで、彼女の視線の先、窓際の方を確認してみたけど。
 そこにいたのは、お喋りしてる二、三人の女子、席について教科書を見てるタマちゃん、そして、窓際にいて、グラウンドの方を眺めてる満向さんだった。特に不審な何かは、なかったと思う。


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