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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK U 作者:ジン 竜珠

最終回 二十二
 あのあと、糺さんと光奈さんが、男の人から事情を聞いて(小屋の中で話、聞いてて、あたしたちは立ち会ってない。小屋から出たとき、糺さんが「私、それなりに顔が利きますから、あなたのことをお話ししておきます」とか言ってた。なんのことだろ?)、時間も遅くなるからって事で、羽心侍にあるファミレスでお夕飯食べて、朔羅を、下宿してるアパートまで送っていったら、天音家への到着は午後八時頃になってた。
「お帰り」
 と、玄関で笑顔で緋芽さんが迎えてくれた。ああ、旅行から帰ってきたんだ。早かったわね。近場だったのかな?
「緋芽さん、旅行、どうでした?」
 軽い気持ちで言ったけど、緋芽さん、きょとんとなった。
「え? 旅行? なあに、それ?」
 今度はあたしの方が、きょとんとなる番だった。
「ほら、旅行に行くって、火曜日に言ってたじゃないですか」
 緋芽さんがあたしの後ろ、……糺さんとかがいる方を見た。そして、急に何かを思い出したような、ていうか、わざとらしい態度で言った。
「そ、そう! あ、あたし、旅行に行ってたの!」
「だから、さっき、そう聞いたんですけど? で、どこに行ってたんですか?」
「え、ええっと」
 と、どこか慌てたような感じになって、そして、また、思い出したような感じで言った。
「に、西の都の、あの街に、ね!」
 西の都かあ。いいなあ、あたしも行きたいなあ。美味しいスイーツとかいっぱいあるし、「おばんざい」とかも食べたいし。
「ごめんね、おみやげ、買ってくるの、忘れちゃった」
「いいですよ、気にしなくて」
 あたしがそう言うと、申し訳なさそうな笑顔を浮かべてから、あたしの隣にいるタマちゃんに言った。
「佗磨姫ちゃん、今日、お風呂掃除、あたしなんだけど、替わってくれる? なんか、疲れが残ってて」
「うぃ」
 タマちゃんが頷く気配があった。
 その時、あたしの中に引っかかる「何か」があった。

 部屋に入ったとき、「そのこと」に気がついた。
「緋芽さん、タマちゃんのことは、『佗磨姫』って呼び捨てだったよね? いつか、なんかで『佗磨姫ちゃん』ていう風に呼んだときもあったけど。でも」
 あたしが、蜚の呪いから目を覚ましたとき、緋芽さん、タマちゃんのことを「佗磨姫さん」って呼んでた。あの時の違和感って、それだったんだ。
「……まあ、誰かの呼び方なんて、かわったりすることもあるか」
 気にするほどのことじゃないわね。
 あたしは、ジャケットを脱いで、衣紋掛けにかけた。


(第参章 特効薬、ありやなしや? 後篇・了)


あとがき:当初、堀口栗花落は「医者にならないまでも、その方向の道に進むんだろうなあ」と、「漠然と考えている」キャラクターだったんですが、それだったら「進学に力を入れた私学に入ってるんじゃないのか」、さらに私立新将岳女子を「良妻賢母の育成に力を入れ、料理や栄養学の教育にも尽力している学校」としましたので、「医者になるつもりはない」キャラに変更。


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