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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK U 作者:ジン 竜珠

第20回 参・:二十
 角の一本が斬り飛ばされて、蜚は逆上したみたい。猛然、って感じで、あたしに向かってくる。あたしはまた手刀を振った。今度は身体の正中線を狙ったけど、うまく当たらず、身体の一部をかすめただけだった。
 その突進にも圧力があったみたいで、あたしはそれに「押される」ようにして、体当たりをかわす。
 でも、蜚のヤツ、見た目にそぐわず、身のこなしが良くて、すぐに方向転換して向かってくる。その横腹に、タマちゃんが跳び蹴りを食らわせた。吹っ飛び、倒れた蜚に向かって、手刀を放つ。でもまた狙いがはずれて、本当は首を狙ったのに、お腹に切り傷ができただけだった。
 おぞましい声を上げて、蜚があたしを睨む。例によって、それをかわすと、近くに満向さんが見えた。
 その時、なんとなく、閃くものがあった。だから、あたし、それを実行することにした。あとは、それをタマちゃんとか満向さんが察してくれたら最高だけれど。……本当は打ち合わせしたいけど、そんな時間、ないしなあ。
 こんなとき、テレパシーとか使えたらなあ。それか、ブロックサイン、決めとくとかすれば、よかったかなあ。
 考えてても始まらない。
「タマちゃん!」
 あたしの声で、こっちを向いたタマちゃんに、さりげなく自分が動く方向を指さす。そして、ちょっとしたジェスチャーをした。タマちゃんは頷いたけど、わかったかどうか。運を天に任せるだけ。
 あたしは、ダッシュして、満向さんのそばに行った。そして。
「満向さん!」
 あたしと背中合わせになった満向さんが、首だけ回して、あたしを見る、あたしは、素早く、蜚と鳥を指で差し、次に、その指で自分の左方向を指す。
 わかってくれたのか満向さんが頷いた。あとは、タマちゃんが察してくれれば。

 頭に血が上ってるらしい蜚がこっちに向かって突進してくる。あたしは、それを受ける振りをして、ギリギリまで引きつけ、咄嗟にかわした。
 一方、満向さんもギリギリまで鳥を引きつけ、あたしと同じ方向に身をかわす。蜚の方はあたししか見えなくなってるから、鳥は見えてない。鳥の方は、まだ蜚の動きを確認できると思うけど、確認できるのは蜚と満向さんだけ。
 蜚が、あたしの方に顔を巡らせて、方向を変えた。鳥も、一瞬、驚いて、宙にホバリングするようにとまった。
 そして、蜚と鳥のマークがはずれてるタマちゃんが、あたしたちの動きで、作戦を察してくれてた。鳥の背後に回り込んでたタマちゃんが、宙高くジャンプし、鳥の背中に跳び蹴りを食わせた。キックを受けた鳥は、その勢いで、蜚に激突した。
 その衝撃で蜚の体勢が崩れた。
 何が起きたか、蜚が理解するのと、ダッシュして間合いに入った満向さんが、剣を振り上げて、下から蜚の首を跳ね飛ばすのと、どっちが早かっただろう? 予定では、鳥も蜚と同じ方向に動いて、横からタマちゃんが鳥に体当たりして、蜚に鳥をぶつけて、そこを満向さんの剣とあたしの手刀が、鳥と蜚を切り刻む、だったんだけど。
 蜚がかすむように、消滅していく。千円札サイズの黄色い板が地に転がる。
 一方、鳥は、宙高く、舞い上がった。あたしはそいつに向かって、手刀を振った。今度は、白く光る三日月みたいなものが飛んでいくのが見えた。その三日月が、鳥の翼の片方を斬る。よろけた鳥だけど、墜落はしない。なんとか、空中で踏ん張ってる感じ。
 その時、満向さんが、あたしの横に並んだ。
 持っている剣の柄頭(つかがしら)同士を組み合わせる。金属音がして、二つの剣が組み合わさった。まるで三日月みたいな形になる。
 満向さんが呪文を唱えた。
「鳴弦(めいげん)。神通神妙神力(じんづうしんみょうしんりき)。謹請(きんじょう)、弓霊(きゅうれい)大神(たいしん)、この霊弓(れいきゅう)に、神威降りませ」
 そして三日月を、まるで、弓のように構える。長い方の剣を上に、短い方の剣を下にして。
「弓矢立つ、ここも高天(たかま)の、原なれば、射る矢の先に、悪魔たまらじ」
 そう言って弓を引く仕草をする。
 ……なんだろ、本当に弦(つる)があって、矢をつがえてるみたい。それに、何か、目に見えないものが集まっているのがわかる!
 そして。
「エイヤッ!」
 気合いとともに、満向さんが、見えない「矢」を放つ。
 直後、宙にいた鳥が爆発する。黄色い板が、落ちた。


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