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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK U 作者:ジン 竜珠

第16回 参・十六
 市の大岳というエリアの南西部に、小岳(こだけ)というエリアがある。ここも山林が多いが、拓けたところも多く、ハイキングコースや、隣の志火島市にかかるが、ちょっとした登山コースも設けてある。その登山コースは途中から分岐して、大岳の大規模のキャンプ場に繋がっている。
 時刻は、午後五時。跂踵の話では、ここに呪いによる病人が現れるという。
 保は、強い充実感を感じていた。
 今の自分は、必ず患者を救うことができる。
 今の彼は、患者を救うことが無上の喜びにさえなっていた。
 小岳のハイキングコースを歩いていると、途中にある、休憩場で、一人の男性がうずくまっているのが見えた。
 この休憩場はバスケットのコート三面ほどだろうか。本当に休憩するだけの場所らしく、雨風をしのぐ、三十平米程度の小屋、ちょっとした水場しかない。
 男性は小屋の前で、座り込み、肩で息をしている。着流しスタイルで、眼鏡をかけた、若い男だ。
 こんな格好で、こんな場所にいるのが、どうにも不自然だった。この休憩場は、裏手の細い道を降りれば、ハイキングコース利用者のための駐車場へと続いている。だが、その道は、舗装はされているが狭く急坂で、しかも長い。この細道が作られている理由までは、保は知らない。ハイキングコースの順路より、早いわけでも利便性が高いわけでもない。ハイキングコースが整備される前に使われていた、小屋への直通コースだというが、それとても、合理的説明ではないと、保は考えている。
 もっとも、保にしてみれば、そんなことはどうでもよかった。理由はどうあれ、ここにこうして、患者がいる。
 それがすべてだった。
 その患者に近づいたとき。
「……?」
 休憩場に足を踏み入れて十歩ぐらい歩いたところで、何かが「閉じた」ような閉塞感が生まれた。
 違和感に辺りを見回すと。
 小屋の影から、三人の女子高校生が現れた。制服から判断すると、市内の私立新将岳女子の生徒のようだ。
 なんだろうと思っていると、跂踵の声がした。
『ハメラレタ!』
「え? なんだ、それ?」
 意味不明の言葉に、声がした方を見たとき、跂踵が高速で飛び、三人の女子高生に向かって行った。


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