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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK U 作者:ジン 竜珠

第14回 14
 しばらくうさんくさげな表情で保を見ていた女の子だったが、おさげの女の子が一層、苦しみ出したので、どうやら飲ませることにしたらしい。
「チューリン、これ、飲んで」
 おさげの女の子が、荒い息のもと、薬を含む。
 その直後。
「……あ」
 まるで熟睡から覚めたかのような表情になって、おさげの女の子が、長身の女の子を見る。
「楽になった」
「ウソ!?」
 ショートヘアの、長身の女の子が、目を丸くして、驚いた。
 保なりに考えているのは、「御札を焼いた、ということだから、その御札の力か何かが、患者の身体に入った『妖怪の呪い』を打ち消しているのだろう」だが、そんなバカな話はできない。
 だから、ただ「治ってよかったよ」とだけ言って、この場を立ち去ることにした。
 二人の女の子が自分に向かってお礼を言うのを聞きながら、保は充実した思いを抱いていた。
 やはり医者は、自分の天職なのだ、と思いながら。

 やっぱり、眠いわ。
 朝、四時半に起きて、水浴びて、祝詞上げて。
 バスの中で身体とまぶたが、重いこと重いこと。
 でも、気力を振り絞って、学校へと歩いた。
 正門のところで、つゆりんが、あたしにヘッドロックをかましてきた。
「おはよう、女薙! このところ、朝、辛そうだね。やっぱり、あれか? 住所変わったし、遠くなったし。おまけに」
 と、あたしの耳元で囁いた。
「『クールビューティー佗磨姫さま』と一つ屋根の下だから、夜、寝らんないのかい? それとも、寝かせないのかな?」
 あたしがお引っ越ししたのは、火曜日、朝のSHR(ショートホームルーム)で、満向さんの連絡先を入れた、新しい連絡網が配られたそうだから、みんな知ってる。
 あたしもね、もし「クールビューティー佗磨姫さま」だったら、その気になったかも知れないけどね?
「そんなんじゃないって。とにかく、朝、早いのよ。だから、しんどくて」
「そうか。……だろうなあ、あたしも、朝練のある日とか、結構、朝早くて、辛いもんなあ」
 つゆりんは、バスケ部。でも、うちは伝統的に、体育会系の部活にはそれほど力を入れてなくて、練習試合とか、なんかの大会が近づかないと朝練をやらないっていう。
 その時、ウチのクラスの中林(なかばやし)さやか、通称「チューリン」が、近くを通った。そして。
「ああ、つゆりん、昨夜(ゆうべ)は有り難う」
 と、言った。
「ああ。昨日はあれから、どうだった?」
 と、つゆりんが聞くと、
「なんともなかったわ」
 と、笑顔を返して、先へと歩いて行った。
「ねえ、つゆりん、ゆうべ、って、何?」
「ん? 昨夜さ、バスケ部終わった後、三丁目のミズ・安崎(あんざき)フォルトゥーナの『タロー・キャビネット』へ行ったんだ。そこで、チューリンとバッタリ、あってさ」


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