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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK U 作者:ジン 竜珠

第12回 12
 光奈さんの乗用車の後部座席で、あたしは横になってた。なんていうかね、痛くはないけど、ものすごく身体がだるくて思うように動けない。
「無茶するなあ、ダイダラボッチなんて。今の綺じゃ『キャパ』超えてるから、生気、ごっそり持ってかれたろ?」
 なんか、楽しそうに言ってるけど、言ってる意味がわからない。あたし、「声」に応えただけだし。
「そうそう。綺が聞いた『フンババ』だけど」
 と、光奈さんがケータイの画面をこっちに向ける。
 牛の怪物のイラストがあった。さっき見た奴と似てる。
「バビロニアの怪物で『フンババ』っていうのがいる。こいつだな、こいつも『邪視の力』持ってるし」
 助手席のタマちゃんがイラスト見て頷いてる。ちなみに環緒さんは、引き続き、探索、なんだそうだ。
「このフンババ、一説によると、牛の角を持って目が一つしかなくて、おまけにひと睨みで人を殺すって言われてるらしい」
「……ひと睨みで殺すって、あたし、やばかったんですね」
 その言葉に、光奈さんが笑った。
「この前も言ったけど、この街には、ある種の『咒力』があるから、そこまでの力はない。せいぜい、気を失って、一ヶ月かそこら、意識不明になるってところじゃないかな?」
 笑って言うことじゃないと思う、それ。
「なんか、この前の蜚っていうヤツと、似てますね、姿とか、能力とか」
 あたしがそう言うと、光奈さんがケータイをしまいながら言った。
「糺が言ってたんだけどね。妖界(ようかい)……アヤカシの世界にいる妖怪の御魂が人間界に現れた時、その国や地域で、認識の違うことが多いらしい。そして時間が経っていくと、人間側で特定のプロフィール……服みたいなものを作り上げていく。そして、今度はアヤカシの御魂が人間界に来たとき、その服を着る。だから、『水辺にいて、動物の身体をして、人を喰らう妖怪』は、日本では牛の身体をした『牛鬼(ギュウキ)』になるけど、スコットランドでは馬の身体を持った水妖『ケルピー』になる。ダイダラボッチ……大太法師(たいたんぼう)も、ギリシャじゃあ『タイタン』って呼ばれてる」
「へえ。それじゃあ、タマちゃんたち、猫股も?」
 その言葉に、タマちゃんが言った。
「うぃ! あっしの仲間は、イギリスとかじゃあ『ケット・シー』って呼ばれてるニャ。それに」
 と、胸を反らし、自慢げに言った。
「エジプトじゃあ、バステトっていう、猫神様になってるニャ!」
「そっか。……じゃあ、とりあえず、エジプトの人に土下座して謝っとこうか」
「? なんでニャ?」
 わかんないか? あんたが自分を「猫神様」とおんなじ存在だって言ってるのが、どれだけ失礼なことか?
「じゃあ、のっぺらぼうも?」
 光奈さんが頷いた。
「のっぺらぼう、ってある意味、どんな姿にもなれるだろ? だから、ドッペルゲンガーって呼ばれてたりするらしい。ほら、ドッペルゲンガーって、誰かのそっくりさんだろ?」
 なるほど、そういう解釈になるのか。
「それに、オファニエルっていう天使だともいわれてる」
「天使、ですか?」
「うん。オファニエルって、前後左右に四つずつの顔を持つんだけど、それって、『東西南北、つまり世界全域で、男・女・子ども・大人の四つの姿を持つ』ってことらしい。あと、南方の『オア・ロヴェ』っていう変幻自在の神だってことらしいけど、ここまで来ると、糺の牽強付会(けんきょうふかい)も極まれりだな」
「そうニャ! アヤカシの分際で、天使とか神さまとか、畏れ多いにもほどがあるニャ!」
 と、タマちゃんは憤慨してるけど、さっき自分で同じこと言ったのに、早く気づけ。


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