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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK U 作者:ジン 竜珠

第11回 11
 そう、この間の妖怪は、尻尾が蛇だったけど、こいつには普通の尻尾が生えてる。
「ということは、その鏡、意味がないニャ。でも、あいつも邪視の力を持ってるニャ!」
 そして、あたしを見る。
「やっぱり、あいつ、綺たんを狙ってるニャ」
「へ? なんで? なんで、あたしを狙ってるの?」
「綺たんが『和の姫』だからニャ。悪い妖怪には、それがわかるんで、狙い撃ちにしてくるニャ」
 ……冗談じゃないわよ! なんで、あたし悪い妖怪に狙われなきゃならないの!? だいたい、「和の姫」ってなんなの!?
「綺たんは、適当なところに身を潜めて、チャンスをうかがって欲しいニャ。あいつの邪視がそっちに向かないように、あっしたちであいつを足止めするから、その間に、綺たんは御魂玉で、あいつを一撃で粉砕して欲しいニャ」
 タマちゃんの両手の爪が伸びた。っていうか、どっちかっていうと、爪そのものが伸びたっていうより、爪から十五センチぐらいのとがった光が現れた感じに近いかな。
 そして、ジャンプして、牛の化け物の前に躍り出た。
 あたしは。
 今さらながら、足が震えてきた。
 やだよ、やっぱり怖いよ!
 へたり込んだとき、声があたしの中に響いてきた。
『我を頼れ』
「……え?」
『国土を守る者として、異国の妖物(ようぶつ)に好き放題をされるのは、腹に据えかねる』
 あたしは、自然に立ち上がっていた。
『我は大太法師』
 その声に、あたしの中に勇気が湧いてきた。ブレスレットから赤い玉を出し、チョーカーの鈴に押し入れる。そして、キーワードを言った。
「アハリヤ、アソビハストモウサヌ、アサクラニ、ココニオリマセ、タイタンボウ!」
 鈴を鳴らすと骨が熱くなった。それと同時に、あたしの中に「力」が生まれる。
「タマちゃん! あたしを空高く放り上げて!」
 その声が聞こえたんだろう、牛の化け物に躍りかかっていたタマちゃんが、こっちに向かってきた。そして、あたしを抱える。一瞬、重そうにしたタマちゃんだけど、顔を真っ赤にして、あたしを空へ放り上げた。あたしの中にある「力」も、なんか一緒になって、空へと舞い上がるように働いたみたい。
 そして。
 かなり高く上がったところで、急降下が始まった。でもそれは自然落下じゃない。まるで。
 そう、まるで、振り上げた拳を、勢いをつけて打ち下ろすような感じだ。
 あたしの体が化け物に激突する直前、若い男の声で「戻れ、フンババ!」って叫ぶのが聞こえたけど、直後、空から落ちてくる弾丸となったあたしの体当たりを受けて、牛の化け物は爆発するように、消滅した。
「綺たん、すごいニャ。大太法師(たいたんぼう)……ダイダラボッチの力を降ろすなんて、無謀もいいところニャ。ていうか、ダイダラボッチも、修行中の『和の姫』に降りてくるなんて、無茶もいいところニャ。綺たん、もしかしてマゾ?」
「……やかましいわ。ていうかさ、起こしてくれるかな? 身体、動かなくて、さ」


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