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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK U 作者:ジン 竜珠

第10回 10
 今日は調理部C班の活動日。ちなみに、前、申請を出してたから、あたしはA班とかB班所属の部員が作ったスイーツの批評会に、参加することになってる。
「だからさ、聞いてる、タマちゃん? 今日は部活はないけど、活動日なの! ややこしい言い方だけど!」
 放課後になると同時に、あたしはタマちゃんに抱えられ、学校を飛び出していた。
 そうか、あの「目」、見ると、催眠術にかかるのか。
 今日は、なんか、術の効きが弱かったなあ。
「典少(てんしょう)の海水浴場に、妖怪が出たニャ!」
 典少っていうのは、市の北東部。この市は東南部が海に拓けた三日月型をしてるんだけど、その北のてっぺんになる。将番礼の南部なんだけど、森とか小山とか挟んでるんで、直(ちょく)に行くことはできなくて、いったん、将番礼の西南部にある乙貝(おとがい)の方に出ないとならない。
 ちなみに「典少」っていう名前は「公文書(典)を収める蔵の数が少ないところ」ってところからきてるらしいけど、どうでもいいんだわ、そんなこと。
「妖怪って、この間の、牛の化け物?」
「らしいけど、よくわからないらしいニャ」
 あたしをお姫様抱っこして、車よりも速く走って、時々、ブロック塀を踏み台にして、民家の屋根とかをピョンピョン跳ねてるタマちゃんは、ちょっとだけ、首を傾げる。猫耳、出てるし、人に見られたら、大騒ぎになるんじゃないかしら? ああ、そういえば、「姿くらます」とか言ってたっけ。
 そうこうしてるうちに、海水浴場に着いた。いい天気だなあ。……じゃなくて!
 ここまで来るのに、相当スピードが出てたんだけど、そんな感じなかったなあ。これって、やっぱり「妖力」とかだったりすんのかしら?
「来たか」
 と、光奈さんがあたしたちを見た。
「ここは、『塞(ふさぎ)』があるんで、誰もここに意識を向けないし、入ってこない! 今、環緒が対応してるが、ちょっと苦戦してる! オレも参戦したいが、妙な『力場』が生まれてて、『塞』の維持の方に力、使わないとならない! 綺、頼む!」
 なんか、事態は、ややこしいらしい。
 そう思っていたら、現在閉店中の「海の家」の一軒を豪快に破壊して、牛が現れた。まるで、「風」みたいな何かに吹っ飛ばされたように見えたけど、宙で一回転して、着地したから、案外、自分からジャンプしたのかも知れない。そして、その向こうから環緒さんが走ってきて、その牛に跳び蹴りを食らわせたけど、あまり効いてない。
「綺! これ、糺から預かってきた!」
 光奈さんが、あたしに真円形のヘッドのついたペンダントを投げ渡す。
 ヘッドの部分は、直径十センチぐらいの鏡になってる。
「これ、何?」
「辟瘧鏡(へきぎゃくきょう)っていうアイテムだ! これで、疫病の妖怪の呪力を逸らすことができる!」
 それをかけた時、タマちゃんがあたしを抱えたまま、砂浜へとジャンプした。
 ちょうど、環緒さんから逃れるようにして、牛の化け物がこっちに向かってくるところに、タマちゃんが着地する。
「……あれ?」
 その牛を見たとき、なんか、変な感じがした。なんだろ、この間の牛と、どこか違う気がする。
 牛の身体に、角、一つしかない目に……。
「あ!」
 あることに気づいたとき、牛があたしを睨んだ。
「まずいニャ!」
 タマちゃんがジャンプして、牛から逃れた。
 別の場所に着地し、あたしを砂浜の上に降ろすと、タマちゃんが言った。
「あいつ、蜚と違うニャ!」
「うん」
 と、あたしも頷いて言った。
「尻尾が蛇じゃない!」


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