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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

最終回 31
「だからさ、なんで、あたし、ここにいるの?」
 気がつくと、どこかの広場。多分……。あくまで、「多分」だけど、ここって、旧大岳エリアの山にある、キャンプ場じゃないかなあ?
 タマちゃんを見ると、この猫、ゼェゼェ肩で息をしながら言った。
「あっしにだって、姿をくらませて、高速で走ってここまで来るぐらい、造作もないニャ」
 と、ゼェゼェ。そして一言。
「重かったニャ」
 アア!? このバカ猫、今、なんて言いやがった!?
 あたしが睨むと、タマちゃんが首を横にフルフルと振って言った。
「違うニャ! そういう意味じゃないニャ!」
 そして、どこかを指さす。そこにいたのは。
「満向さん?」
 転校生の満向朔羅さんだった。
「ちょ、ちょっと! なんで、この子まで!?」
 慌てたあたしの声に、タマちゃんが不満げに言った。
「タダシの命令だニャ!」
 え? 糺さんの? わけわかんないんだけど? この子、知り合いの子じゃないの? なんで、タマちゃんがあたしと一緒にここまで連れてこないとならないの?
 その時、樹がバサバサーッ、て感じで揺れると、林の中から、環緒さんが飛び出してきた。そして、それを追うように、でっかい怪物が駆けてきた。
 牛だった。
 また、牛? なんなの、これ? なんで、また牛なの? どこかに牛フェチでもいるの?
 ていうか、気持ち悪い。普通の目がなくて、頭の前の方に、縦の裂け目があって、そこで、でっかい一個の目が、ギョロギョロ動いてる。さらに尻尾が蛇になってて、びょんびょん動いてて、シャーシャー言ってる。
「なに、あれ?」
 慣れたっていうわけじゃないけど、この間から立て続けに変なの見てるし。少しは落ち着いて、タマちゃんに聞くことができた。
 タマちゃんが厳しい目をして言った。
「あれは、蜚(ヒ)だニャ」
「ヒ?」
 頷き、タマちゃんがファイティングポーズをとる。
「あいつは、疫病とかをもたらす妖怪だニャ」
 疫病か。
「早く倒さないと、原因不明の病気で苦しむ人が現れるニャ!」
 それは迷惑かも。
 そう思ったとき、牛があたしを見た。その目が光ったと思った瞬間!
「……あ、れ……?」
 めまいがした。そして、腰から力が抜けて、あたしは、へたり込んじゃった。
「しまった!」
 環緒さんの声がしたけど、その方を向けない。
『コノアタリデ、病人ヲ生ミ出ソウト思ッタガ、ヨモヤ結界ニ囚ワレルトハ! 我ニモ、都合ガアル!』
 何かの声が頭の中に響いて、そして、何かがこっちに向かう気配があった。
 何かがぶつかる音、何かが振り回されるような風を切る音、地面に何かが転がる音、誰かの悲鳴。
 なんとか目を開けたとき。あたしの目の前にあったのは、誰かの背中。ポニーテイルが見えるから、転校生ちゃんか。
 その背中がゆっくりと立ち上がる。その手には、輝く刃。なんだろう、すごく湾曲してる。剣だと思うけど、少なくとも、日本刀とかじゃないわね、あれ。あんなに反っくり返った剣なんて、見たことないもん。あ、でも昔マンガで見た覚えがあるなあ。確か、プルワーとかっていったっけ? 右手にあるのは、長さ八十センチぐらい、左手にあるのは、五十センチぐらいかなあ、よくわからないけど、そんな感じ。あ、もしかして、この前持ってた竹刀袋に入ってたの、アレだったのかな?
 意識がだんだんもうろうとなって行く中、声が聞こえた。
「神通神妙神力(じんづうしんみょうしんりき)。謹請(きんじょう)、三鬼大神(さんきたいしん)、この霊剣に神威(しんい)降(お)りませ」
 その直後、あたしの前に、なんかのエネルギーが噴き上がるのが感じられた。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・前・行! 天地玄妙、神力赫々(しんりきかくかく)!」
 言葉にあわせて、何かが風を切る音がする。そして、あたしの前から、人の気配が消えた。
 そのあとのことはおぼろげでよくわからない。誰かの「結界を破られた」っていう声が聞こえたとき、あたしの意識は、ブラックアウトしていったから。
 とにかく。
 熱っぽくて、吐きそうで、頭がクワンクワンまわってて。
 このまま死んじゃうのかなあ、て思ったところまでは、覚えてる……。


(第弐章 特効薬、ありやなしや? 前篇・了)


 あとがき:すみません、予想より、長い話になりそうです。なので、この作品も「ブロック制」をとらせていただきます。システム上、完結させないと、別の作品が書けませんので。
 本当に、ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。

 あと。
 キャラクターなんかの名前には、意味があったりします。ただし、「和の姫」に関しては、着想した今年一月頃の時とは、実は解釈が変わってしまってるんですが(百八十度違う、とまではいきませんが、割と根本的な部分で変わってしまってます)、ずっと「和の姫」で設定とかいじってたんで、今さら、変えられなくて。
 これらの名前の意味については、追々、あるいはラストでご紹介申し上げます。


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