小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第30回 弐・十四
 月曜日。この日は、転校生が来るって事だったけど。
 クラス担任の菱田眞紀乃女史に連れられて入ってきたのは、例の女の子だった。
「満向 朔羅(みつさき さくら)と申します」
 転校生がそう言ったとき。
「ニャー!!」
 クラス中に、奇声が轟いた。
 クラス中のみんなが声の主とか、奇声の発生源を探している中、あたしは、窓際の列、前から二番目の席、あたしから見て、二人ほど前にいる猫を見ていた。
 すました顔で、窓の外を眺めてる。一瞬、猫耳が飛び出てたけど、誰にも気づかれてないと思う。
 さすがに隣に座ってる坂元 朋子(さかもと ともこ)ちゃんは、音の発生源があの猫だって気がついてるみたいで、メッチャクチャ、怪しい物体を見るような感じでタマちゃんを見てるけど。
 ちなみに転校生ちゃんは、空いていた席……廊下側から二列目、前から五番目、要するに一番後ろの席に座ることになった。

 で、休み時間。普通ならみんなが群がって質問攻めにするところなんだけど。
 なんていうか、あの子、まとっている、ていうより、放っている空気が普通じゃない。なんか、「近づくと殺す」みたいな感じ。二人ほど質問受け付けたけど、あとは、自然とみんなの方から遠ざかっていった。
 一応、言っておくか。
「ねえ、満向さん」
 あたしは、席まで行った。
「なあに、女薙さん?」
 ……。
 さすがに知ってるか、あたしのこと。だったら、話は早い。
「ちょっと、そこまでいい?」
 と、あたしは、彼女を廊下まで連れ出した。本当はもっと別のところがいいけど、一時間目まで時間ないし。
「アドバイスってほどのものじゃないけど、もうちょっと考えた方がいいわよ、態度? 浮いてるし」
「いいのよ。なれ合う気、ないし。もちろん、あなたとも」
 あのさあ、一応、同居人になるわけだし、こっちのことも考えてくれないかな?
「あのね、満向さん。あなたが思ってる以上に、人間関係ってややこしいの」
 我ながら、実感こもってるなあ、今の言葉。あたしが複数の人とおつきあいしてるんで、いつか問題が起きるんじゃないかって、ビビってるから、じゃないわよ、念のため?
「だから、ちょっとは愛想を良くしたら……」
「おおい、お前ら、授業、始めるぞ!」
 チャイムともに、一時間目・英語の笹木先生(男・独身)の声がした。

 放課後。
 今日は、あたしが所属する、調理部A班の活動日。で、今日は、チーズタルト!
 一応、フルーツソースとかも作るつもりで、イチゴとか買ってきて、調理室にある、調理部専用の冷蔵庫に入れといたんだ。
「よし!」
 気合いを入れ、あたしは、教室を出た。……ところで、猫に捕まった。
「アヤカシが出たわ。今すぐ来て」
「あのさ、今日これから部活なの」
「聞いてた? 妖怪なの。人の世とかに仇をなすの」
「聞いてた? 部活なの。楽しみにしてた時間なの」
「いいから、来るニャ!」
「いいから、ほっとけ!」
 そんな押し問答をしてると、ケータイが鳴った。糺さんだった。
『ああ、綺ちゃん、ちょっといいかな?』
「……ダメです」
 あ。電話機の向こうで糺さんが、フリーズしてる気配が感じられる。
『えっとね』
 立ち直ったみたい。
『大岳の方なんだけど、アヤカシが出たんだ。環緒さんが対応してるんだけど、結界の外に出さないようにするのが、精一杯みたいでね。僕や姉さん、光奈さんたちが行くには、ちょっと時間がかかる。のっぺらぼんには、その妖怪と戦えるような戦闘力はないし。位置的に、僕たちより、君の方が早く着けるんだ。だから、君の力を貸して欲しい』
「怖いし」
『……すみません、そこに佗磨姫さんがいますよね。かわってもらえますか?』
 あたしは、ケータイをタマちゃんに差し出した。
「糺さんから」
 あたしからケータイを受け取ると、タマちゃんは何か話してたけど。
 あたしにケータイを返すと、「ふう」と溜息をついた。そして。
「綺たん」
「なに?」
 と、タマちゃんがあたしを見たところで、あたしの記憶が途切れた。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 974