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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第3回 3
「早く!」
 そう叫んだ丹安武さんの顔が変わってた。なんていうか。頭にまるで耳のような三角形の突起が現れてて、瞳が、オレンジ色に光ってる!
「早く、その呪符(じゅふ)と、降神(こうしん)の鈴を、着けるニャ!」
「……ニャ?」
「いいから、早く! しっかりするニャ、女薙 綺(めんなぎ あや)!!」
 明らかに怒ったような調子で、丹安武さんが言った。一時は動きを止めた牛だけど、再び、こっちに向かって歩き始めた。
 丹安武さんが力負けしてるのがわかる。
 あたしは、思わず、右手に持ったビー玉を握りしめた。その時。
「……? え?」
 一瞬だけど、声がしたような気がした。
 耳を澄ます。確かに声が聞こえる。でも、それは、耳を通して聞こえるんじゃない。なんていうか、頭の中に響いてくる感じ。
 声は、こう言っていた。
『我らは、汝らの思いに共鳴し、契約を結びしぞ。汝らの招請に応じ、力を使わん』
 なんだか、よくわからないけど、力強い声だ。
 あたしは、腰をかがめて、黒いベルトのチョーカーを拾った。
 中央部に、無色透明のクリアな鈴が付いてる。鈴の大きさは、直径三センチぐらい。結構大きい。あたしは、一旦、ビー玉をベージュ色のジャケットの、右ポケットに入れた。そして、チョーカーを首に装着する。
 自分で言うのは変だけど、ここまでの動作は、ほとんど無意識だった。……あとから思うと、あの「声」を聞いてから、催眠術にかかったみたいになってたみたい。
「女薙さん、荒玉(あらたま)……さっきの赤い御魂玉(こんぎょく)を、鈴の中に入れるニャ!」
 こんぎょく? ああ、ビー玉のことか。
 あたしは、ポケットから、ビー玉を出して、鈴を触ってみた。なんか、鈴の上半分に指を押し込むと、バネか何かで左右に開くようになってて、玉を入れることができるようになってる。
 その中に玉を入れると、鈴が閉じる。その時、また「声」が頭の中に響いてきた。
『我は、山童(やまわろ)。我の名を呼べ』
 すかさず、丹安武さんが言った。
「復唱するニャ! 『アハリヤ、アソビハストモウサヌ、アサクラニ、ココニオリマセ、ヤマワロノタマ』。それから、鈴を指で弾くニャ!」
 言われるまま、あたしは唱えた。
「アハリヤ、アソビハストモウサヌ、アサクラニ、ココニオリマセ、ヤマワロノタマ」
 そして、右手の中指で、鈴を弾いた。


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