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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第27回 弐・十一
 放課後、委員長の小菅 夢津香(こすげ むつか)、通称「むっか」が、なんだか、慌ただしくしてた。
 こう言っちゃあなんだけど、こいつ、委員長にあるまじき、いい加減なヤツなのよね。ていうか、一年の時は、風紀委員から目を付けられてたらしい。
 なんで、こいつが委員長になってるかっていうと、ぶっちゃけ、クラス担任の菱田 眞紀乃(ひしだ まきの)女史の陰謀。
「役に就けたら、真面目にならざるを得まい、うけけ」
 だとかで。
 教師が「うけけ」とかって笑うのは、どうかと思う、マジで。
 教室には、あたしと、つゆりんしかいない。
「どうしたい、委員長?」
 つゆりんが、声をかけると、むっかが何かのファイル……日直日誌をめくりながら、言った。
「来週の月曜日さあ、転校生が来るんだって!」
「え? こんな時期に?」
 あたしが言うと、むっかが頷いた。
「詳しくは聞いてないけどさあ、仕事の都合か何かで、娘さんだけ、こっちに来ることになったんだって」
 ……なんか、複雑な事情がありそう。
 あたしと同じことを思ってたんだろう、つゆりんが言った。
「ドラマとかじゃさ、両親が離婚して、遠くの親戚に預けられるって、あったりするよな?」
 一応、言っておこう。
「他人様(ひとさま)の家庭に、口出ししない方がいいと、思うわよ?」
 バツが悪そうに、頭をかいて、つゆりんが立ち上がる。
「さあってと! あたし、そろそろ部活だから」
 そう言って、つゆりんは教室を出て行った。
 むっかも、日誌(多分、もろもろの「当番表」のページ)を見ながら「当番とか、組み直さないと」なんて言いながら、早足で、出て行った。
 残されたあたしは。
 今日は部活もないし、なんかの活動する予定もないし、珍しく誰とのデートの予定も入ってないから、帰ることにした。
 ていうかね?

 眠い。

 バスで居眠り、なんて、初めての体験だわ。
 たまにガタン! ってなるおかげで爆睡まではしなかったけど、あったかいし、この絶妙な揺れがいいのよねえ。
 で、バスで四十四分。バス停の「三法図(さんぽうず)」に着いた。糺さんたちの家、あたしの下宿先は、旧将番礼(きゅうしょうばんれい)町のエリアにある。市の北東部で、内陸部。地図で見た感じ、三分の一ぐらいは森林とか山かなあ。この三法図っていうバス停から、森の方に向かって、さらに十五分歩かないとならない。
 ほんと、いい運動になるなあ。
 バス停から歩き出したとき、一人の女の子が道を歩いてくるのが見えた。
 ハッキリ言って、ここって、もんのすごい田舎。特に、バス停から天音家に向かう道の一部は、両側は見渡す限り、畑。で、二百メートルぐらい行ったら、もう、林の中になってて。この林の道を、また百メートルぐらい行ったら、ちょっと拓けたところに出て、舗装された二車線の車道もあるけど、その道は本当に、そこを通っているだけの道。で、この道はちょっとした山をグルッと回り込んでて、三叉路になってて、道の一つが天音家に通じてるけど、この道を歩いて天音家に行こうと思ったら、多分、三、四十分はかかるんじゃないかなあ?
 だから、その道を横切って、上り坂の山の中になるけど、細い道を歩いた方が早い。
 で、ここには何かのお店とか、民家があるわけじゃない。ていうか、コンビニさえない。その細い山道の先にあるのは、天音家だけ。
 だから、この道を通ってバス停の方に来るって、普通じゃ考えられない。
 しいて言うと、天音家からやってきた、なのよね。


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