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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第25回 弐・九
 糺さんによると。
「長田社長が、工場建設予定地で、太歳を見つけたところ、関係者に病人が続出したそうです。それを、どうやってか、ある占い師が聞きつけたとか」
「占い師?」
 あたしの問いに、糺さんは頷いて、言った。
「それについては、調査中です」
 ふうん。何かつかんでそうな雰囲気だけどな。
 まあ、いいか。
「それで、その占い師から、太歳を消す方法を教わったそうですが、時間を守らなかったそうです」
 そのあとを、緋芽さんが言った。
「儀式によっては、開始時刻や、実施時間が定められているものもあるの。それを守らなかったら、効果がないばかりか、逆の意味を持つことさえある」
「逆の意味?」
 よくわからないな、時間が違うと、逆の意味になるとか?
 あたしの疑問には、環緒さんが答えてくれた。やっぱり、どこか暗い表情で。
「例えば、だけど。午前零時だと、『何かの始まり』になるけど、午後十一時だと『何かの終わり』になる」
 そのあとを、糺さんが言った。
「長田社長は『午後十一時から始めるように』と言われたそうだけど、この時間は『子(ね)の刻(こく)』、つまり、旧時間で一日の始まりを意味するんだ。この時間に、太歳封印の儀式を行うってことだったそうなんだけど、社長は、それより早い時間に行ってしまった。『子の刻』より前の『亥(い)の刻』は、言ってみれば、『終わり』。つまり『太歳封印』の終わり、封印が解き放たれる、になってしまったんだね。そのため、太歳が活性化してしまった」
 なんだか、面倒な話ねえ。
「そんなことって、あるんですか?」
 あたしの言葉に答えたのは、のっぺらぼんだ。
「呪術っていうのは、君たちが思う以上に、厳密なルールを持ってるんだわ。女薙家の人なら、知ってる……わけじゃあ、ないんだよねェ」
 苦笑いを浮かべて。
「それで、なんだけど」
 と、糺さんが、深刻、て訳じゃないけど、少し神妙な表情になって言った。
「太歳の咒力を受けて、そのあとそれが、太歳消滅によって浄化された関係で、長田社長のメンタルに、多少の変化が生じてしまった可能性が高い。僕たちは、以前の長田社長について存じ上げないから、なんとも言えないけど、もしかすると、人格が変わってしまったことも考えられる。君の話では、知り合いのお父様だそうだから、それとなく、探ってくれないかな? まあ、わかったからといって、こちらから、その性格に、強引に呪術で干渉することはできないけど、打てる手があるなら、打っておきたい。社会活動に影響が出るのは、極力、抑えたいからね」
「……あー。それなら、問題ないと思います」
「は?」
 糺さん、緋芽さん、環緒さん、のっぺらぼんが、一斉に首を傾げた。
「なんていうか、いい人になっちゃったらしくて。むしろ、よかったんじゃないか、と」
 と、あたしは操さんから聞いたことを話した。
 緋芽さんは「災い転じて?」とかって、首を傾げてた。

 そのあとも、「太歳の出現は、その占い師が仕組んだことかも知れない」とか、「場合によっては同じような事件が、また起きる可能性がある」とか、「その占い師の目的がわかれば、先手が打てるかも」とかって話をしてたけど、ほとんど理解できなかった。
 あのさあ、人に話をするときは、「○○について知ってるよね?」っていう前提でお話しない方がいいと思うわよ?
 と思ったけど、言わなかったわ。なんか、もっと長くて、難しい話になりそうだったから。

 操さんはお友達とお話しして、時々、笑ってた。


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