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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第21回 弐・五
 その時、緋芽さんがやってきた。
「ゴメンね、話が聞こえたから」
 笑顔で、部屋に入ってきた。
「いきなり、こんなことになっちゃって、本当に申し訳ないと思う。でも」
 と、緋芽さんは、真剣な目であたしを見た。
「あなたには、『和の姫』になってもらいたいの。それが多分、多くの人のためになると思うから」
 ……。
 何その、デッカい話? 普通に「世界を救え」って言ってるように聞こえるんだけど?
 緋芽さんが、畳の上に正座で座る。それにならうように、タマちゃんも正座した。
「女薙 綺さん。お願いします。『和の姫』になって、人の世を護ってください」
 そして、頭を下げる。タマちゃんも、それにならって、頭を下げた。
「わわ、わかったから! わかりましたから! 頭下げんの、やめてください!」
 いやあ、素でビビるわ、人に頭下げられると!

 で、タマちゃんと一緒にお風呂に入った。
 なんでも「その首輪(チョーカーだ! 『首輪』とかいうな、ネコ!)は、綺たんには自力で外せないニャ」ってことで。
 て、いうかね。
「下宿人のあたしが一番風呂って、おかしくないですか?」
 あたしがそう言うと、緋芽さんが笑顔で言った。
「霊位から見ると、うちでは『和の姫』が一番、上だから」
 とのこと。
 わけわかんないわね。
 それにしても。
「タマちゃん、スタイルいいよね」
 ほんと、これだけ見てると、そそるなあ、この娘。ほれぼれしながらあたしが言うと、タマちゃんも、なんだか感動したような感じで(エヘヘ、照れるなあ)、あたしを見ながら言った。
「綺たんも、いいカラダしてるニャ。辛抱たまらんのニャ」
 女子高生が、人の体見て「辛抱たまらん」とか、ほざくな。おっさんか、お前は?
 あ、猫股か、こいつ。
 今、タマちゃんの頭には猫耳が現れてる。ついでにおしりからは、尻尾が二本、生えてる。尻尾の色は、茶色。ていうことは、こいつ、ネコだった頃は茶虎だったのか。
 そんなことを言うと、タマちゃんが、あたしのチョーカーとブレスレットを外しながら、言った。
「だいぶん前に、本で見たことがあるニャ。『茶虎』の『ハチワレ』とかいうのが、あっしの姿に近いニャ。昔、猫股になって間もない頃、鏡で自分の姿、確認したことがあるニャ」
 チョーカーとブレスレットを、出入り口の近くに取り付けてある、幅三十センチ、奥行き十五センチぐらいの、多分、木製の棚の上に置くと、タマちゃんは、桶で湯船のお湯を汲み、自分の肩にかけた。
「熱くないの? それに、猫って水を嫌うっていうけど?」
 あたしの言葉に、タマちゃんが笑顔で応えた。
「猫股になった時に、いろいろと妖術とか心得て、水とか、熱とか平気になったニャ」
 あ。タマちゃんが茶髪になってる。
「綺たん」
 と、タマちゃんが真面目な表情になった。だから、あたしも自然と居住まいを正す。
「なに?」
「あっしも、全部を把握してるわけじゃないけど。でも、タダシとかヒメがやろうとしていることは、とてもステキなことなのニャ。そのうち、タダシから説明があると思うけど、決して変な『オカルト』とか『トンデモ』だと思って、聞き流して欲しくないのニャ」
 何にも知らないあたしは、どう答えるべきなんだろう?
「うん」?
 それとも、
「いや」?
 わからないから、あたしは、こう言っただけだった。
「あたし、パティシエールになるっていう夢を持った、ただの女子高生だから」


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