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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第20回 弐・四
「ニャ! お風呂の準備ができたニャ!」
 声がけもなく、タマちゃんが襖を開けて、あたしの部屋に入ってきた。
「ああ、タマちゃん。ゴメン、ちょっと今、頭の中をデフラグしてる最中だから、ちょっと、待ってくれる?」
 畳の上に、お布団を敷いて、その上に座り込んで、考え込んでたあたしは、タマちゃんに答えた。たかだか、十分かそこらの話だったんだけど、訳のわからない話だったから、頭の中が混乱しまくってる。
 ちなみに、今の話に、タマちゃんは加わってない。この家では、お手伝いさんだけじゃなく、糺さんや、緋芽さん、環緒さんやタマちゃんも、当番制で炊事とか家事をしているっていう。糺さんって、この家のご主人っぽいんだけど、どうなんだろうね? ご主人自らが、ご飯作るって、ないんじゃないかなあ?
 もしかして、毒殺、恐れてるとか?
 ……ないないないない。
 まあ、そんなわけで、今夜は、お風呂掃除と、お湯張りは、タマちゃんの当番だったらしい。猫股にお湯加減、見させるって、問題じゃないかなあ? 猫舌だし、多分、猫ハダ?、だし?
 でも、食事の用意は当番制なのか。あたしも、混ぜてもらえるよね?
「えっと。ここの家の家事の『流れ』を知らないから、なんとも言えないんだけど。ここの家って、お風呂が四つぐらいあったよね?」
「ニャ。お手伝いさん十人が、一度に入浴できる大浴場と、露天風呂と、三人程度が使える普通のお風呂と、修行用の禊(みそぎ)場だニャ」
 四つもあること自体、理解不能なんだけど、今は別の質問。
「タマちゃんが掃除して、お湯張りしたのは、普通のお風呂だよね?」
「うぃ!」
 と、弾けた笑顔で、元気に答える猫股。
 もうね、なんていうかね、「クールビューティー佗磨姫さま」なんて言ってる連中に、知らしめてやりたいわ、こいつの正体。
「お風呂の準備って、もっと早くしておくものなんじゃないの?」
 実家じゃ、遅くても、七時頃には入浴できるように、準備してたけどな。
「そのあたりは、詳しく説明すると、長くなるニャ」
 そう言って、タマちゃんが腕を組む。そして、数秒後。
「ニャー!! 難しい話は、あっしには、無理ニャー!」
 と、わめいて、頭をかきむしった。……学校での姿を知ってるあたしからすれば、本当、こいつ、詐欺だわ。
 そんなあたしの困惑を、多分、一千光年ぐらい彼方にブン投げて、タマちゃんは言った。
「あったまった体が、冷めていくことで、人間は、快適な眠りにつけるニャ。八時から九時頃に入浴したら、十時頃に快眠につけるニャ。そしたら、朝四時半に起きて、修行もできるニャ!」
「……ちょっと、待ってくれるかな? この間も糺さんが言ってたんだけど、修行って何? なんで、あたしも、そんなことしないとならないの?」
「? 今さら、何言ってるニャ? 綺たんは『和の姫』だから、修行しないとならないニャ」
 えっと?
「ねえ、タマちゃん」
 と、あたしは、いったん、頭を整理してから言った。
「うぃ」
「あたしの家って、なんなの? 御魂玉ってなに? アヤカシの力を降ろすとか、どういうこと? 和の姫って、なに? なんで、あたしがそんなことしないとならないの? ていうか、そもそも猫股とか、のっぺらぼうとか、妖怪とか、そんなファンタジーな存在が、なんで普通にいるの? あなたたちの目的って、なんなの?」
「あうううううぅぅぅ! ちょっと、待つニャ! いきなりたくさん聞かれても、あっしにも答えられない!!」
「あ、ごめん」
 それも、そうね。一気に聞いても混乱するだけか。


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