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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第2回 2
 それは、黒いチョーカーのようだった。
 ……あれ? 今、丹安武さん、このチョーカーを自分の首から外すような仕草をしたように思ったけど、彼女、こんなもの着けてたっけ?
 こんな異常事態でも、不思議に思うことは、やっぱり不思議。
「女薙さん、そのチョーカーを首に着けて!」
 その時、牛が、丹安武さんから、離れた。そして、あたしの方を見る。
 体に電気が流れたかのように、あたしの体が跳ね上がった。
 怖い!
 牛が、ギョロリとあたしを見る。四本の角からは、丹安武さんの血を滴らせていた。
 口が、なんだか、モゴモゴと動いて、それから、ニヤリと笑った。
 ウソ!? 牛がニヤリと笑うなんて、有り得ない!
 こっちへ向かって、ゆっくりと歩き始めた牛に対して、あたしは、何もできない。
 声を出して、助けを呼ぶことさえできない。
 神さま、ゴメンなさい! あたし、悪い子でした! パパの言うことも、ママの言うことも、きっちりと守ってたわけじゃないし、校則も、守ってた訳じゃありませんでした!
 うち、女子校だから、慎ましやかに、って毎日言われてるけど、守ってませんでした! ていうか、男子がいないのをいいことに、去年の夏、ムチャクチャ暑い日なんか、昼休み、上半身、ブラウスの前、全開にして涼んでました!
 お姉ちゃんの言うことも聞きませんでした! ……あ、でも、あれは別! だって、お姉ちゃん、あたしを「アイドルとして売り込もう」って言ってて、コスプレさせられたり、写真をアップされたり、訳のわかんないイベントに連れて行かれたり。あのせいで、あたし、中学校の一年の頃から、男子の視線とか怖くなって、ちょっと怖い目に、何度も遭いそうになったりして、アイドル願望とかなくなって!
 あ、それからそれから! 去年とか、同級生と二年の先輩との間で、二股かけてました! ていうか、今は、さらに二人増えてます! 二人の三年の先輩のうち、一人は、本気であたしとの結婚を考えてるそうだけど、あたしには、そんな気はありません! だから、どこかの時点で、きちんとケジメをつけます!
 背中まで伸ばした髪は、もうちょっと伸ばしたいから、もっともっと大事にします! いつも以上にトリートメントに気をつけます!
 とにかく!
 これまでの悪いところ、全部、反省して、改めます! いい子になります! だから、だから、助けてください、神さま!
 牛が、動きを止めた。もしかして、あたしの祈りが通じたのかしら?
 見ると、丹安武さんが、牛を、多分、尻尾を掴んで自分の方へ引っ張っていた。
 見える限り、彼女のクリームイエローのブラウスも、紺地に赤色のラインが入ったタータンチェックのスカートも、前の方は、血で染まってる。それだけの出血なのに、なんで、丹安武さん、平気なの!?
「女薙さん、早く!」
 丹安武さんが、叫ぶ。
 どうやら、このチョーカーを着けるように急かしているみたい。
 そんなことを言われても!


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