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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第17回 第弐章 特効薬、ありやなしや? 前篇
 操さんが、言うには、
「父の中の、毒が抜けたみたいに、人が変わったの」
「どういうことですか?」
 放課後、あたしと操さんは、実技校舎の屋上に上がっていた。実技校舎は、あたしたちの教室がある本校舎の西に、横並びに建っている、一回り小さい建物。
 今日は木曜日だから、調理部B班の活動日。あたしと操さんはA班だから、今日は、部活はない。
 ちなみに、調理室が使えない他の班は、空き教室で献立の研究をしたり、自宅で作ってきたお料理とかを批評し合ったり、二人いる顧問の先生のうち、スケジュールの空いている方の先生から講義受けたり。
 たまにだけど、引率されて実際に料理人さんやパティシエさんのお仕事を見学させてもらったりしてる。
 もちろん、自由で、強制参加じゃない。人数も、かなりの規模にのぼるんで、抽選だし。
 今朝は、ちょっと曇ってたんだけど、昼頃からお日様が出てきて、今は、西に傾いた紅い光が、グラウンドAで活動してるソフトボール部とか、Bの方で活動している陸上部とかを照らしてる。陸上部には、あたしの恋人の一人、一年生の雅友 莉世子(まさとも りよこ)ちゃんがいるけど、校舎屋上じゃあ、向こうもこっちも確認なんかできない。
 ……いや、なんとなく、わかるけどね。
 それは、ともかく。
 昨夜、タマちゃんたちが助けた人影は、「フード工房オサダ」の社長さん、つまり、操さんのお父さんだった。なんで、あんな時間に、あんなところにいたのか、とか、一体、何がどうなって、あの怪物とどういう関係なのか、っていうのは、糺(ただし)さんたちが、「聴取」とか、「霊査」とかいうのとか、いろいろやって、今日の午前中に聞き出すことになっていたらしい。昼頃、緋芽さんからメールが来て「今夜、これからについて、簡単なお話をしたい」って。
 本当に、あたしに何をさせるつもりかしらね、あの姉弟?
 そんな関係で、昨夜は一応、お宅の方へ送り届けたそうだけど。
 そうか、今朝、操さん、社長さんとお話しして、その時、何か変化があったのね。
「今朝なんだけど。いつもは、苦虫を噛みつぶしたような顔しかしないのに、笑顔で私とお母さんに『おはよう』だって。なんだか、気持ちが悪くって」
 と、操さんは溜息をついてみせる。本当に不可解なのか、首を傾げながら。
「それにね、お母さんに『いつも家のことを押しつけてるのに、文句も言わずにこなしてくれて、有り難う』とか言うなんて、不気味だわ……」
 ねぎらいの言葉か。うちも、パパがママにそんな言葉かけてるの、聞いたことないなあ。
「あの父が、一晩明けただけで、人が変わるとは思えない。何か、変なこと、考えてないといいんだけど」
 ……。
 操さん、お父さんのこと、信じてないのね。
 幸い、うちのパパは物わかりがいい方だと思うけど。ていうか、ママの方が強いけど。ていうか、ママ、結構、怖いけど!
 まあ、操さんの家のことまでは、あたしは知らない。だから、こう言うに留めるにした。
「あたし、操さんのお父さんがどんな人で、これまで、どんなだったか知らないから、なんとも言えませんけど。でも、もしかしたら、本当に考え方を改めたのかも知れませんよ?」
 操さんは、それでも、「うーん」なんて唸ってた。


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