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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第15回 壱・九
 着いた先は、高さ二メートルぐらいの鉄柵があって、看板が立てられてた。
「フード工房オサダ 中滝第二加工場建設予定地」
 操さんの会社の、工場か。
 でも、それより何より、あたしの、目を引くものがある。
 高さは、五メートルぐらいかなあ。防犯灯の明かりだから、正しい色はわからないけど、小山みたいに盛り上がった、赤っぽいモノが、モゴモゴ蠢いてる。で、そいつには、たくさんの「眼」がついてた。
「……うわあ、なに、あれ?」
 気持ち悪い。臭いはしないけど、グロいの一言だわ、あれ。
 あたしの言葉に、タマちゃんが、深刻そうな顔で応えた。
「『太歳』っていう妖怪だニャ! まさか、ここに現れるとは、思っていなかったニャ」
「そうね」と、環緒さんが続けた。
「七、八年前にも、旧大岳(きゅうだいだけ)町の方で出現の予兆があったんで、『犀犬(さいけん)』を使って封じたんだけど」
 大岳町っていうのは、市の北西部。ほとんどが山。
「なに、その『サイケン』って?」
「犀犬っていうのは、人に幸運をもたらす獣。その力を使って、太歳の咒を相殺して、封じたんだけど」
 環緒さんは、鉄柵の向こう側を見通すかのように、睨んだ。
「犀犬が殺された形跡がある。……だから、太歳の力が解放されたのか」
 光奈さんが言った。
「一気に叩こう! 外に出ないように、『塞(ふさぎ)』はオレが作っとく」
 それに応えて、制服姿のタマちゃん、黒いニットにピンクのプリーツスカートの環緒さんが、軽く七、八メートルはジャンプして、柵を跳び越えた。
 そして、赤い化け物に向かう。
 すると、化け物の眼から、白い光線が出た。でも伸びてくっていう感じじゃなくて、五メートルぐらいの、槍みたいにとんがった光が、一瞬閃く、って感じ。
 まさか。
「ビーム!?」
 なんかの紐みたいなものを繰りながら、光奈さんが言った。
「原理とかは、ややこしいから、たとえ話で。あの眼から、百個の粒子を飛ばすんだけど、少しずつ減っていって、五メートルぐらい先で、全部消滅する。だから、あんな風に、槍みたいなのが、五メートルぐらい出てるように見える。そんな感じかな? で、あれは、『邪視の力』」
「……ゴメンなさい、一言一句がわからない」
 魔法とかSFとか、そんなに詳しくないしなあ。
 あたしの言葉に、苦笑いを浮かべて、光奈さんが言った。
「太歳は、本来、人を呪い殺すほどの力を持ってる。でも、ここの土地には、ある『エネルギー』があるから、それほどの力はない。でも、人間を病気にするぐらいの力はある。実際、前は、周辺で病人が続出したそうだし。だから、あのビームに撃たれると、原因不明の病気に苦しめられる、てところかな」
 タマちゃんたちは、そのビームを、華麗な動きで避けてる。でも、とにかく眼の数が多くて、あちこちに放射するから、近づけないでいるみたい。
 そのうち、環緒さんとタマちゃんが、人形みたいなものを抱えて、怪物から遠ざかった。
 なんだろ、アレ? 遠目だからよくわからないけど、マネキン人形なんかじゃなかったなあ、柔らかそうだったし。
 その時、光奈さんがあたしの後ろに来た。
「さあ、君の仕事だよ」
「え? あたしの?」
「そう。御魂玉の力を使えば、多分、倒せる」
 御魂玉。あのビー玉か。でも。
「でも、どうすれば?」
 それに、怖いし。
 光奈さんが笑顔になった。
「大丈夫! 御魂玉が教えてくれる。それにね?」
 そう言って、あたしの両肩に両手を置いた。
「自分の力を信じて! いいね?」
 なんだろう、その微笑みを見てると、なんの根拠もないのに、自信がわいてくる。
「さあ、オレの手に足をかけて」
 光奈さんが掌を上に向けて、腰をかがめる。
 あたしは、その掌の上に足を置いた。


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