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作品名:アヤシの杜のアヤカシ同盟 BLOCK T 作者:ジン 竜珠

第14回 壱・八
 で、あたしは、今、天野(あめの)光奈(みな)っていう、カジュアルショートヘアの女の人が運転する車に乗せられて、市の南部へと向かっている。
 市の南部に、海に面した「中滝(なかだき)」っていうエリアがあるんだけど、そこは、工場が多い。
 あたしは助手席で、後部座席には、タマちゃんと環緒さんも乗ってる。「体力と妖力温存のために、同乗する」ってことだけど、本当に、なにがなんだか。
「いやあ、いきなり大きな仕事だよねえ」
 運転しながら、光奈さんが、ニカって感じで笑う。面白がってるのがわかる。あたしよりちょっと年上で、気のいいお姉さん、て感じの人だ。
「あの、よくわからないんですけど? いきなり『中滝の、工場建設予定地に行け』とだけしか言われなくて」
「……ああ、ゆっくり説明してるヒマ、なかったからなあ。時間もあるようだし、簡単に。……環緒ちゃん」
 頷き、環緒さんが言った。
「この市には、ある種のアンテナが張り巡らしてあるの。なんでそうなっているのか、については、そのうち、話すわ。それで、そのアンテナは、妖怪の出現を察知できる。その妖怪が、人間界に悪影響をもたらすものかどうか、も、わかる。さっき、そのアンテナに反応があったの」
 そして、なんだか、ためらいがちに言った。
「それで、ね? 今、反応があったのは、結構な大物。死ぬようなことはないけど」
 うおぉぉぉぉいぃぃ!? いきなり「死ぬ」とか、ぶちかますな!!
 あたしが、ビビってるのに構わず、環緒さんは、かわらず、ためらいながら言った。
「なんていうか。戦いで死ぬようなことはないけど、呪いの力がすごいっていうか、見た目が気持ち悪いっていうか。……とにかく、厄介な相手なの。こっちに『死の呪い』が来ないようにはしてるけど、もしかしたら……」
「結局、死ぬんかい!?」
 あたしの抗議に答えたのは、光奈さんだ。
「まあまあ。その妖怪はね、地中に現れる妖怪なんだ。掘り出した人の一族郎党を祟り殺すっていうヤツなんだけど、この街には、ある種の『咒力』が働いてるから、そこまでの力はない。ただ、やっぱり掘り出した人の関係者に災いが行くことは考えられる。その呪いの力が、何らかの『武器』に変換されている怖れがあるから、対処法が、現段階では立てにくいんだ」
「……ぶっつけ本番、ですね?」
「まあね」
 と、光奈さんが、ニカって笑う。
 なんなんだ、この人? 余裕かましてるっていうか、人を喰ってるっていうか。
「まあまあ。オレの家って天音家の分家でさ、それなりに術は心得てるし、環緒ちゃんも佗磨姫ちゃんも、戦えるし」
「うぃ!」
 タマちゃんの声がした。


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