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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第9回 un−9
 俺の表情を見た川平が笑った。
「あたしが盗むのは、『そのもの』じゃなくて、『エッサンス』……その『もの』の精神みたいなものだから。……って言っても、よくわかんないか」
「わからん」
 俺の言葉に、川平が苦笑いを浮かべた。
「まあ、いいわ。心が盗まれた以上、君に選択肢はないしね」
「……それはどういう意味だ?」
「言葉通りの意味」
 そう言ってから、何かに気づいたように、川平は、不機嫌そうな表情になった。
「あたしも、不本意なの! でも、あの人のハートを射止めるためには、その『トレゾー』が必要だし。だから、仕方ないの! だから、あたしがあなたとの『縁』を繋ぐためにキスをしたり、デートをしたりするのは、演技なんだから、勘違いしないでね! ……あ、でも、君は本気になっちゃうわけか。あたしに心を盗まれてるから。……あー、もー、ややこしいなあ!」
 と、一人で悩み、一人で納得し、己の髪をワシャワシャとかき乱す川平を見ながら、俺は何となく思っていた。
 しばらくは、訳のわからん生活を送ることになるのは、間違いねえな。
 でも。
 コイツと一緒なら、それも悪くないかな?


(パピヨンは、ご機嫌ななめ un・了)


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