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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第88回 dix−17
 次の瞬間、訳のわからない数字の列が、大量に頭に流れ込んできた。それは「0」と「1」だけのようだが、とにかく量が半端ではない。
「アルミュールの一つに、この街のコンピュータのデータを格納しておいたの。バグとかウィルスとか、いろいろ面白いものも、ブレンドされてるから」
 何を言っているのかわからない。とにかく、頭の中が情報の洪水状態だった。思考能力が奪われていくのがわかる。
 その時、青い鎧姿のヴォラールが現れるのが見えた。
「パピヨン、目印、かたじけない。アレがなければ、某、ここをさまよっていたやもしれぬ」
 そして、シャットを見た。
「パピヨン、どうするのだ、この女?」
「うーん。面倒だから、ここに置き去りにしたいけど」
 そう言ったとき、何かに気づいたように、パピヨンがバンガローの方を見た。つられて、そっちを見ると、鞠尾和磨と、吾妻由梨が出てくるのが見えた。
 だが、「トレゾー」は現れてはいない。
 その二人を見て、何かに気づいたように、パピヨン、コルボー、ルーの三人がうなずき合った。
 代表するかのように、パピヨンが言った。
「あんた、とんでもないこと、しちゃったわねえ」
 ニヤニヤとするパピヨンに、かろうじて一言だけ問うた。
「な、なに、それ、は……?」
「あんたが何をしようとしたのかは、わかる。で、それが失敗したのもわかる。でもね? それが結果として、二人の絆を強くしちゃったの。つまり、間接的に、あんた、あの二人を結びつけた『仲人』のエッサンスそのものになってしまったの。だから、あんたは、もう、こっちの世界の住人。ここから出ることはできない」
 そんなバカなことがあるわけはない。どうにかここからおサラバする方法があるはずだ。だが、まったくといっていいほど、頭が回らない。
 ルーが言った。
「幼子(おさなご)を虐待しておった親を、この街の警察組織に引き渡した折に、知ったのだが。この街の警察組織が『白井(しらい)美音子(みねこ)』なる女を捜しておったな。お主の本当の名前も白井美音子。偶然とは、面白いものだ。それとも、案外、本当にお主ではないのか?」
 そして、頷いた。
「どうだろう、パピヨン。もし、そうであるなら、……いや、間違いなく、この女であろうが、この女、こちらの警察に身柄を引き渡し、裁きを受けさせるのが良いのではないか?」
 パピヨンも頷く。
「そうね。でも、心神耗弱とかって扱われそうだけど」
 シャットの、まともな思考能力が続いたのは、パピヨンが溜息をついた、そこまでだった。


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