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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第82回 dix−11
 ドラゴンがパピヨンから受けたダメージを打ち消す……いや、そのように見せかけているトリックについては、見当がついた。もし、その推測通りなら、こちらが絶えず「致命的」ダメージを与え続けることができれば、勝機は見える。
 問題は、自分がそれだけのエッサンスと技能を、放ち続けられるか、だ。それだけの精神力を維持できるか。
「……できるか、じゃなくて、するしかないのよね」
 そう呟き、パピヨンは踏み込んだ。
 まず、一撃目。アトラクションの落下エネルギーを剣技のエッサンスに乗せ、叩きつける。空間が歪むような感覚のあと、ドラゴンの拳(こぶし)が飛んできた。それをかわし、刀を構える。ドラゴンは涼しい顔をしている。やはり、一切、ダメージは与えられていない。
 それを確認した直後、すぐさま、懐に飛び込む。落下エネルギーを乗せ、刃を上向きに振り払う。確実にヒットしたが、またも空間が歪むような感覚のあと、ドラゴンが左の回し蹴りを放ってきた。
 避けて、バックステップを踏むのと同時に、また、踏み込む。今度は速度超過の自動車から盗んだ、スピードを乗せ、刀を突き込んだ。間違いなく喉を突いたはずだが、それでもアルミュールは消えることなく、空間が歪む感覚のあと、ドラゴンが手刀で刀を弾いたあと、右の蹴りを放ってきた。
 それを腕でガードし、間合いをとる。その威力や体捌(たいさば)きから見て、どうやら、ドラゴン自身は、何らかの体技を習得しているわけではないらしい。
 おそらく「奥の手」といえるエッサンス、あるいは技能を持っているはずだが、今はそれを使えないのだろう。
 ということは、パピヨンの推測は正しいと判断していい。
 それに心中(しんちゅう)、ひそかに頷くと、パピヨンは刀に、落下エネルギーを乗せた。他のエッサンスにしてもいいが、ある程度「手近」に「置いた」ものの方が、精神力の消耗が少ない。すぐに思い浮かべることができれば、時間を必要とせず、そのエッサンスを引き出すことができる。
 今度はスピードを乗せ、ドラゴンの胴を薙ぎ払う。やはり空間が歪んだあと、ドラゴンの手刀が首を狙う。
 今度はなんらかのエッサンスが乗っていた。感じとしては、強酸だ。
 アルミュールがダメージを盗んだおかげで、パピヨン自身にダメージはないが、このアルミュールには、強酸のダメージが残っている。それが、致命的なモノであるほど、ほかの何かを盗んだときに、すぐに押し出されてパピヨンにフィードバックされるか、なにかの大事な局面で、突然、アルミュールが消滅してしまう怖れがある。そうなるぐらいなら、今、破棄した方がいいだろう。パピヨンは今、装着しているアルミュールを廃棄し、新たに念装した。
 そして、斬り込む。今度は落下エネルギーだ。だが、十分ではなかった。そろそろ、精神的に疲弊してきたのかも知れない。
 ドラゴンの表情に、なにかの『色』が浮かんだ。もしかすると、攻撃に転じてくるつもりかも知れない。もし、それがパピヨンの知らない致命的ダメージをもたらすものだとしたら?
 それはまずい。パピヨンは血を吐く思いで、集中し、エッサンスを乗せて、攻撃し続けた。
 何撃目だったろう。ドラゴンの表情にわずかに焦りの色が見て取れた。


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アクセス: 2016