小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第78回 dix−7
「悩むのはあとだ。今は、シャットがどこにいるのか、何をしようとしているのか、掴むのが、先決ではないか?」
「……何をしようとしているのかは、大体、わかるわ。あいつ、今のうちに『トレゾー』を出現させようとしてるのよ」
「……すまん。意味がわからぬ」
 ルーが首を傾げる。
 念装し、パピヨンは言った。
「本当は手の内を明かすのは、イヤだけど、あんたはちょっと事情が違うみたいだから、話すわ。あたし、鞠尾和磨の心を盗んで、管理物にしてるの。だから、その状態で『トレゾー』が現れると、あたしにとっては、ものすっごい都合が悪いのよ」
「なるほど。あの女なら、やりかねんな」
「もっとも、強制的に『そういうこと』になると、それが『トレゾー』になるかどうかは、正直、わからない。今は、そう思う。だからこそ、こういう暴挙は止めないと!」
 和磨がヴォラールの管理対象になっていることは、ヴォラールたちにはわかっている。だが、どのヴォラールか、ということまでは、感知できないはずだ。ただし、それとなくバレている可能性は十分にあった。
 コルボーには、和磨と一緒に行動するところを見られているし、シャットにも、そういうところを学校で見られている。ルーは、ある意味「途中参戦」であるから、必然的に、コルボーとシャットに、パピヨンが和磨を管理していることが知られているのは、公然の秘密と言えた。
 だからこそ、「和磨の十七歳の誕生日に『トレゾー』が現れる」という前提を崩すわけにはいかないのだ。
「とにかく、シャットがどこにいるのか、見つけ……!」
 言いかけたとき、木々が豪快になぎ倒されていった。
 見ると、ドラゴン、ゴブリン、オークといった、幻想の怪物たちが、こちらに向かってくるではないか! その数、ちょっと数え切れない。少なくとも全高五メートルクラスのドラゴンが数体、ゴブリンとオークがそれぞれ数十体、不定形の怪物が十数体までは、パッと見でわかる。それ以外の種類の怪物も含めると、本当に実数はわからない。
「……なぁるほどぉ」
 と、パピヨンは納得した。
 要するに、シャットは、このような怪物を差し向けて、パピヨンたちを足止めしようというのだろう。こんな怪物が暴れ回ったら、人目につき、騒ぎになる。騒ぎになれば、どんな不測の事態が起きるかわからない。やはり、時間と空間を盗んだのは、シャットのようだ。
「しかし、どこから、あんな化け物を出したのかしらね?」
 やや、呆れ気味にパピヨンは言った。
 パピヨンが知る限り、このような幻想生物を召喚できる技能を持った者も、このような存在を召喚する魔導書も、この街にはなかったはずだ。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 1499