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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第7回 un−7
 由梨から「一緒に帰ろう」と誘われたんだが、「用を思い出した」と言って、俺は校舎に戻った。
 そして、「人気(ひとけ)の無い場所」だという、旧校舎裏へと来た。
 そこにいたのは、一人の髪の長い女生徒。俺が知らない女生徒だ。
 俺は、その女子に近づいた。
「お前が、パピヨンなのか?」
 俺はメモ紙サイズの紙を見せる。その紙には、こう書いてあった。
「話がある。『ひとけ』は盗んでおくから、今すぐ、旧校舎裏まで来なさい。パピヨン・ノワール」
 普通なら、信じるわけはない。
 あんな体験をしたあとに、覚えのない紙切れがポケットに入ってなければな。
 勝ち気な目許をした女生徒が、口許に冷笑にも似た笑みを浮かべて言った。
「気がついたのね、その紙の『仕掛け』に」
「ああ。触ってすぐにわかった。一枚にしては厚いし、変に反ってるし。だから、『二枚の紙を両面テープで貼り合わせてあるのか』って、すぐにわかったよ」
 隅を三つ、破って開くと、さっきのメッセージがあったわけだ。
「君が、『それ』に気づかないと意味がないから、誰かが気づくように、わざとポケットからはみ出させておいたけど。でも、メッセージをハッキリと書いちゃうと、その第三者にもメッセージを見とがめられて、『イタズラだ』ってことにされて、君がここに来ないかも知れないし。かといって、暗号文にすると、君が解けない可能性の方が高いし。だから咄嗟にそんなことをしたけど。君が最低レベルのオツムを持っていて助かったわ」
 えらくひっかかる言い方をする女だが、それは今は置いておく。
「もういっぺん聞く。お前が、パピヨンなのか?」
 あの状況下で、こんなメモだ。この女子が普通の女生徒であるとは思えない。制服からして、ここの生徒、あるいは、その振りをしているんだろうけど。ついでに言うと、襟章を見ると、二年生みたいだけど。
 女生徒が微笑む。
「そうよ」
「そうか。お前、今は、ここの生徒の振りをしてるんだな」
「今? もう、一週間も前から、ここの生徒なんだけど、あたし」
「は? お前、何言って……」
「転校してきた川平煌です。よろしくお願いします」
 そう言って、女子がお辞儀する。
「……え? え? 川平、なの、お前?」
 確かに、身長はそのぐらいだけど、髪の長さとか顔とか、全然違う!
「やっぱり」
 と、川平がイタズラっぽく笑った。
「あたしが、前は違う容姿だったことを覚えているのね?」
 川平が訳のわからないことを言った。
「ここの生徒には、ついさっき、認識を『戻して』、植えつけた認識を『取り返しておいた』から、あたしが吾妻さんそっくりだった、って記憶はない。でも、君にはその記憶が残ってる。だから、今のあたしの容姿が、自分の記憶と食い違っていて、混乱してるのね」
 引き続き、川平が何を言っているのか、まったく理解できない。
 なので、一言だけ。
「お前、何者なんだ?」


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