小説&まんが投稿
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第68回 neuf−6
 いろいろと服が破れてしまったので、破れていないように見せかけて、パピヨンは吾妻(あがつま)由梨(ゆり)の家に行った。
 夕方の五時。由梨の母親は出かけているらしい。
「思ったより、元気そうで安心したわ」
 リビングで、パピヨンはコーヒー、由梨はアップルジュースを前に、話をしていた。もっとも、由梨はパジャマ姿だったが。
 しばらく話していて、気持ちがほぐれたのか、由梨が話し始めた。
「川平(かわひら)さん。おかしいと思うかも知れないけど、聞いてくれるかな?」
「なに?」
「あのね。何だかわからないけど、私、男の人が、急に怖くなったの」
 その表情は、やはり、あのときの記憶が甦ったのではないか、と感じさせる。
「夢なんだけど。知らない男の人に、どこかの廃墟みたいなところに連れ込まれて。なにかをされた、っていうんじゃないの。でも、怖くて怖くて……! ただの夢だって言われたら、そうなんだけど、でも! 怖いの!」
 肩が震えている。それを見て、パピヨンは言った。
「もしかして、鞠尾くんのことも怖い?」
 うつむき、由梨が頷く。
 これは、非常にまずい。
 このままでは「トレゾー」は現れない。
 なんとかしなければ。
 パピヨンは、少し考え、言った。
「あたしの知り合いに、心理カウンセラーがいるの。その人に相談してみようか?」
「え? でも、悪いわ、そんなの」
「いいから、気にしないで。あたしたち、クラスは違うけど、友だちでしょ?」
 その言葉に、由梨が、弱々しい笑顔で頷いた。
「ありがとう、川平さん。……笑わないでね? 私、和磨くんと結婚したいと思ってるの。結婚して、たくさん子ども産んで、楽しい家庭を作りたいなあって、思ってるの。友だちからは『お子様』だって言われるけど」
 その言葉に、不思議な気持ちが胸に生まれるのを感じながら、パピヨンは応えた。
「いいじゃない。素敵だと思うな、そういうの」


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 小説&まんが投稿屋 トップページ
アクセス: 2021