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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第62回 huit−7
 そんなことは有り得ないはずだ。原理的なものはわからないが、確かにパピヨンには、融合先の世界のことは詳しく知覚できない。だから、その世界が、どのようなものか、はっきりとわからない。故(ゆえ)に、パピヨンの世界にはない、特殊技能や特殊な技術が存在する可能性はある。
 しかし、ヴォラールとしての能力に関しては、さほどの差違はないはず。
 そもそもヴォラールとは、全次元の根幹のデータベースであるアカシックレコードを知覚し、その情報を引き出し、活用できる存在だ。だから、それほど極端な能力差はないはずなのだ。
 この女は、おそらくこのようなことを言って、パピヨンを牽制(けんせい)しているのであろう。
 だが、現実にこの女はパピヨンの攻撃を無効化した。
 そのトリックを暴かない限り、この女に勝つのは難しいだろう。
「あの『トレゾー』は、儂がいただく」
「ちょ、ちょっと待って!? あなたがあの『トレゾー』を欲しがるなんて、訳がわからない! あたしの世界の沢渡和美……鞠尾和磨と沢渡美春(さわたりみはる)の娘は、まだ、四歳になったばかり! 言ってみれば、あなたの世界は、あたしの世界の未来に位置する。そんな『未来』で、なんで、あの『トレゾー』が必要になるの!?」
 ドラゴンは、愁いを含んだ瞳で言った。
「目の前の事象。その解決のために必要な種が、二十数年前に遡(さかのぼ)る、ということは、よくあることではないか」
 意味がわからない。
「さあ、今日のところは顔合わせということにして、早々に立ち去るがよい」
 女が念装を解いた。
 パピヨンも念装を解き、時間と空間を返した。
 この女が使っているトリックを見抜くまでは、正面からぶつかることは避けた方がいい。
 面倒くさいことになった。
 そんな風に思いながら、パピヨンは保健室をあとにした。


(パピヨンは、ご機嫌ななめ huit・了)


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