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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第60回 huit−5
「お前、どうして、そういう発想になるんだ? まあ、その追求はあとでするが」
 と、俺は、由梨のことを思い起こしてみた。
「そう言えば、昨日の朝、『変な夢を見た』とかって言ってたなあ」
「夢?」
「ああ。詳しくは知らねえけどさ」
 俺の言葉に、川平が何かを考えていたが、しばらくして、
「まさか!」
 なんて、小さく呟いて、「あの時の記憶が」とかなんとか、ブツブツ言って考え込んでる。
 なんか、こいつもおかしいな。
「なんか、俺の周囲、おかしいのばっかりだな。……おかしいと言えば」
 と、俺は、ふと思い出したことを、川平に言った。
「ヴォラールが増えてたぞ」
「増えてた? あのね、虫じゃないんだから、そういう言い方はやめてくれるかな?」
 不機嫌そうな顔で、川平は言った。
「鞠尾くん、一応、確認しとくけど。そのヴォラールって、ウルフカットで、吊り目の若い女でしょ?」
「いや、違うぞ? なんか、アンニュイな感じの、美人だったけど?」
「え? アンニュイ? ……それじゃ、違うかな……? もしかして、髪が長くて、眼鏡かけて、芝居がかってた?」
 と、川平が不思議そうな表情になった。
「芝居がかってた、って、あのコルボーってヤツだろ? いや、あいつとも違うな。俺より、ずっと背が高いから」
「そう」
「ああ。保健室の菅見(すがみ)先生の振りをしてるみたいだけどな」
「どんなやつ? もうちょっと詳しく」
「えっと」
 と、俺はそいつの印象を話した。
「俺よりずっと背が高くて、髪は長くて、前髪で右目を隠すようにしてて。……そうそう。あくまでも、俺の感じた印象だけど、お前とは、なんか、感じが違ったな」
 川平が首を傾げる。
「感じが違う? どういうこと、それ?」
「いや、俺もよくわからないんだよ。なんていうか、ここにいるのは不自然っていうか、根本的に何かが違うっていうか」
「何言ってるか、わからないんだけど?」
 だろうなあ。俺にも、よくわからねえもの。
 だから、こう言った。
「お前の目で確かめてくれ」


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