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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第48回 six−7
 一時間目の休み時間、俺は、なんとなく、保健室までやって来た。
 なんだかんだで、やっぱ、興味あるしな。
 保健室の中を覗き込もうとしたとき。
「なにか、用?」
 いきなり声をかけられたんで、思わず飛び上がりそうになった。
「いいえ、な、なんでも!!」
 明らかな挙動不審者だが、仕方ない。振り返ると、そこにいたのは、白衣の女性。でも。
「……」
「どうかした?」
 白衣の先生が首を傾げる。
「いえ、べ、別に……」
 なんていうか。
 人の噂とか、主観って、当てにならねえよな。
 髪は長くて、前髪は右目を隠すように垂らしてる。身長とか体つきは、確かに北田の言う通りだけど。で、憂いのある感じの美人だけど、顔は菅見先生には、全然似ていない。
 どう見ても、別人。
 この人を見て、「菅見先生そっくり!」なんていう人間は、おそらく世界中探しても、北田一人だと思う。
 でも、あいつ、あるアイドルグループと、その姉妹グループのメンバー、全員の見分けがつくんだよな。
 そう思っていたら、白衣の先生が、意味深な笑みを浮かべた。
「やはり、『トレゾー』の主(ぬし)。オンブルの影響は受けぬようじゃのう」
 その言葉が、俺の頭の中に、ある推測を生んだ。
「まさか……! お前も、ヴォラール……!?」
 川平から聞いたことがある。俺は、ヴォラールが使う「オンブル」とかいうカムフラージュの影響を受けにくいって。
 女が、言った。
「他の人間には、儂(わし)が、『菅見』という養護教員と、同じ容貌(かお)に見えておるはずじゃ。じゃが、汝(うぬ)は、そうではないからのう」
 そして、かすかに笑った。
「汝の『トレゾー』、儂がいただくでの。まあ、それまでは、儂がここの『保健の先生』じゃ。健康な青少年ならでは、の相談も受け付けてやる。いつでも来るがよい」
 そんなことを言い残して、女は保健室に入った。
 あの女もヴォラールか。
 でも、川平とかシャットって奴とかとは、どこか雰囲気が違うんだよな。
 たとえて言うなら、「格の違い」?
 いや、それとも違うな。なんかこう……。
 根本的に、何かが違うような……。
 何が違うかって聞かれると、答えられないけど。
 首を傾げながら、俺は、壁にある「火元管理者」のプレートを見た。
「紫苑 莉勇」。
「なんて読むんだ、これ?」


(パピヨンは、ご機嫌ななめ six・了)


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