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作品名:パピヨンは、ご機嫌ななめ 作者:ジン 竜珠

第42回 six−1
 刀の切っ先が、数センチ、パピヨンの下腹に突き込まれた。
 痛みが放射状に爆発し、全身の痛覚神経が悲鳴を上げる。どうやら、完全に麻酔作用が、全身を蝕(むしば)んでいるわけではないらしい。
 シャットは、苦悶に歪むパピヨンの表情を楽しむかのように、刃を沈め、ほんの少し、動かして、傷を広げる。その傷も、刃が離れたところは、瞬く間にふさがっていった。
 それは、裏を返せば、刀身が潜り込んだままの傷は、ふさがることがないということだ。
「ヘン……タイ」
 喉を絞るようにして、パピヨンは言った。
「あらあ? もしかして、痛かった? じゃあ、もっと、麻酔、効かせないとねえ」
 クスリ、と笑って、シャットがエッサンスを放つ。
 周囲に笑気ガスのエッサンスが漂い、体が、重苦しくなる。どうやら、エッサンスはある種のフィールドを形成して、パピヨンを取り巻いているらしい。
 だが、それでもまだ、痛みは感じることができる。
 気を失って痛みから逃れたいところだが、皮肉なことに、この痛みこそがパピヨンの意識が、ブラックアウトすることを防いでいるようだ。
「それじゃあ、次は」
 と、楽しそうな声で、シャットがパピヨンの下腹部から、刀を抜いた。一瞬、傷口から血潮が噴き出した。
 そして、その刀身をパピヨンの首元に当てる。
「このまま、刃(は)を滑らせたら、面白いわねえ。それとも」
 と言って、再び、切っ先を、パピヨンの下腹に突き刺した。
「やっぱり、お腹開いて、ハラワタを引きずり出そうかしら?」
 もはや、声を上げることさえできない。
 悔しいことだが、この痛みにさいなまれ続けるぐらいなら、ひと思いに、殺して欲しいとさえ思った。
 だが、その痛みこそがパピヨンの意識を引き戻し、「運命の人」と結ばれて、「本当の願い」を叶えたいという想いに火をつけた。
 そして、あることを思い出した。
 もしかすると、記憶違いかも知れない。
 もしかすると、かすかな意識の中で生まれた妄想であるかも知れない。
 だが、それでも今は、それに賭けるしかない。
 パピヨンは意識を集中して、ある「エッサンス」を抽出した。
 そして、目論見通り、明瞭となってきた意識を、さらに集中して、すかさず、盗んでおいた「熱エネルギー」のエッサンスを、シャットに向けて放射した。
 轟音とともに、シャットを爆発エネルギーが襲った!


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